11月19日付で退団を発表した宝塚歌劇団の宙(そら)組トップスター、朝夏(あさか)まなとが8日、大阪市内のホテルで会見を開き、卒業する最後の瞬間まで「宙組の太陽として皆を照らして」「最後の日まで宝塚に必死」「進化して自分らしく、男役をまっとうしたい」と語った。

 朝夏は2日前の今月6日に、相手娘役の実咲凜音(みさき・りおん)サヨナラ公演本拠地千秋楽で、宝塚大劇場から送り出したばかり。今度は自分の退団を発表することになり、実咲には「みりおん(実咲)のサヨナラ公演中にごめんね」と伝えてきたといい「気にしないでください」と返されたという。

 朝夏が退団を意識したのは、昨年7月に初演20年の節目に主演した「エリザベート-愛と死の輪舞-」だった。

 「(主役の)トートをやり遂げたときに、大作に挑戦することで、組の意識がひとつになったと感じ、自身もトートを演じきり、充実感を感じました」

 実咲はすでに、その前々作「王家に捧ぐ歌」から退団を意識し始めており、朝夏が退団を決めた頃には、先に退団の意思を告げられており、1作ずれての卒業となった経緯も説明した。

 「彼女は相手役というよりも同志のような存在。実咲には『大きな花を咲かせて欲しい』と言ってきましたし、1人の舞台人として卒業を見送りたかった。私は私で宝塚人生に区切りをつけたかった」

 朝夏は02年入団。花組に配属。実咲も花組からスタートし、花組時代からコンビを組んできた。朝夏が12年に宙組へ移ると、ひとあし先に実咲が宙組へ異動しており、前トップ凰稀(おうき)かなめの相手役に続いて、自らの相手娘役に就いた。

 朝夏自身、実咲の存在は大きかったといい「(先に積んだ実咲の)2年の主演娘役経験が実になり、支えてもらった」と感謝した。

 宙組の組子には、実咲の本拠地サヨナラだった6日の千秋楽後に伝え、その様子は「みな、険しい表情で聞いてくれて、最後は元気よく『はいっ!』と言ってくれた」と振り返る。

 自身のトップ就任後、星組から移り、2番手として支える真風涼帆(まかぜ・すずほ)との会話については、満面笑みで「ナイショですっ!」と話した。

 退団後は、芸能活動を継続するとみられるが、現段階では「何も考えられません」。恒例の結婚の予定には「はい! (その質問が)来ました!」とおどけた上で「答えませんっ」と笑わせた。

 また、2日後の10日に「スカーレット・ピンパーネル」で、本拠地お披露目を控える星組新トップ、同期の紅(くれない)ゆずるにも退団を伝えており「寂しいと言ってましたが、去年(末)のタカ(ラヅカ)スペ(シャル)で一緒にトップとして立ててよかった。私も(紅に)エールを送って応援したいと思います」と話していた。

 朝夏のサヨナラ公演は、8月18日に兵庫・宝塚大劇場で開幕する「ミュージカル・プレイ 『神々の土地』~ロマノフたちの黄昏~」「レヴューロマン『クラシカル ビジュー』」。同公演の東京宝塚劇場千秋楽となる11月19日付で退団する。