仲代達矢(76)が石川県七尾市の能登演劇堂だけで上演する50日ロングラン公演「マクベス」(9月18日~11月15日)が後半戦に入った。初日以来満員が続き、キャンセル待ちの状態。仲代が本物の馬に乗って登場し、森が動く中での戦闘場面などダイナミックな舞台に、仲代も「世界で1つしかない、ぜいたく『マクベス』になった」と手応えを感じている。

 驚きの連続だ。仲代マクベスは本物の馬に乗って登場、客席から大きな拍手が起こった。ラストの戦闘場面では舞台奥の扉が観音開きとなり、ライトアップされた背後の林が借景として浮かび上がると、どよめきが劇場を包んだ。枝を手にした市民エキストラ約50人がマクベスの命運を握る「バーナムの森」が動く様子を表現し、馬7頭が駆け抜ける。かつて見たことのない舞台にカーテンコールの拍手が鳴りやまなかった。

 仲代は「思った通りにダイナミックな舞台になった。世阿弥に『面白き

 珍しきもの』という言葉がある。面白きはエンターテインメント、珍しきは新しい形式という意味ですが、そこに少しでも近づけたと思う」。馬7頭は福島・南相馬市から移送され、劇場横に厩舎も仮設した。エキストラは七尾市長から高校生まで市民多数が参加。マクベスの独白ではチェロの生演奏も入り「世界で1つしかない、ぜいたくな芝居をやらせてもらっています」。

 能登演劇堂限定で、東京では上演しない。地元石川をはじめ47都道府県からチケット申し込みがあり、50回公演すべて完売。約3万3000人が観劇予定で、キャンセル待ちの状態だ。

 舞台はマクベス夫人の若村麻由美をはじめ、仲代が主宰する無名塾生が固める。仲代が「団結力があるし、うまくなったという感じがある」。15キロの甲冑(かっちゅう)を着るなど体力も消耗するが「毎朝、プールで水中散歩して鍛えています。千秋楽まで日々良くしていきたい」。

 11月15日の千秋楽後、12月には来年1月の舞台「ジョン・ガブリエルと呼ばれた男」のけいこに入る。再来年の舞台「炎の人」以後は仕事の予定は入っていない。俳優人生のラストランに向け、最高のスタートを切った。【林尚之】

 [2009年10月30日8時4分

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