防衛省が廃棄したとしながら一転、保管されていたことが確認された南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報に、「戦闘」があったと記されていた問題で、稲田朋美防衛相の責任問題が浮上している。

 民進党は9日の衆院予算委員会で、稲田氏が、PKO参加5原則や憲法9条によって撤退が必要になる戦闘行為ではなく、「武力衝突」と言葉を置き換えて、現地の実態を「隠蔽(いんぺい)している」と追及。大臣の辞任を求めた。

 稲田氏は答弁で、「日報には『戦闘』とあったが、南スーダンでは法的な意味での『戦闘行為』はなかった」「一般市民を殺傷する行為はあったが、国際的な武力紛争の一環としてのものではなかった」と、苦しい釈明。「『戦闘行為』は法的に意味がある。混同されないように、『戦闘』という言葉を国会で使うべきではない」と持論を展開。審議はたびたび中断した。

 ただ、8日の予算委では、海外での武力行使を禁じた憲法9条を念頭に「(戦闘行為が)行われたとすれば9条の問題になり、武力衝突という言葉を使っている」とも答弁している。

 稲田氏はこれまで、過去の発言をめぐり野党に追及されてきたが、今回は自衛隊のPKO派遣にかかわる問題で、事態は深刻だ。日報が見つかった問題でも、隠蔽疑惑が浮上。民進党の蓮舫代表は会見で「公文書管理のあり方として大問題。担当閣僚として、資質に問題があると思わざるを得ない」と批判した。一方、菅義偉官房長官は会見で、辞任要求を拒否した。

 安倍政権では、「質問封じ」ととられかねない文書を配布した金田勝年法相も、辞任を求められている。