この動画は、日刊スポーツ社内でドローンを飛ばすことに失敗したため、改めて屋外で飛ばしてみたものです。このような映像を社内でも撮りたかったのですが、前回のコラムに書いたように「ファントム3」は暴走し、最後はカベにぶつかる始末でした。


低空飛行でコーン目がけて進む「ファントム3」
低空飛行でコーン目がけて進む「ファントム3」

 ちなみにこの映像は、人の腰ぐらいの高さで機体をホバリングさせ、十数メートル先のコーン目がけて低空飛行したものです。操作は簡単です。ホバリング状態からコントローラーの左スティックを少し上に倒し、前進させるだけです。スピードはそれほど速くないのですが、低空のため迫力のある映像となっています。機体は安全のため約10メートルのワイヤにつながれているので、最後は引っ張られますが、落下しません。何事もなかったかのように、ホバリングを続けてくれます。


コントローラーの左スティックを少し上に倒すだけで、機体は前進します
コントローラーの左スティックを少し上に倒すだけで、機体は前進します

 さて、ではどうして社内で飛行に失敗したのか? 横浜にあるセキド運営の「ドローンフィールド」でスタッフに聞いてきました。まず社内での飛行前、いつものようにファントム3の方位を確定させる「コンパスキャリブレーション」を何回も行ったのですがうまくいかず、室内でGPS(全地球測位システム)もきかないし、仕方ないと思いそのまま飛行させました。ここが落とし穴でした。「コンパス」と「GPS」は全くの別物であり、室内でもきっちり「コンパスキャリブレーション」を行わないと、機体が方位を判別できず飛行が安定しないということでした。


水平方向の「コンパスキャリブレーション」です。機体を水平方向に持ち、腕を固定したまま360度回ります
水平方向の「コンパスキャリブレーション」です。機体を水平方向に持ち、腕を固定したまま360度回ります

 もちろんそれだけが原因ではありません。狭い室内なのでプロペラから生じる自身の風で流されることもあるし、床の状況をカメラとセンサーで捉え機体の位置を確定させる「ビジョンポジショニング」も何らかの影響で機能しなかったと思われます。会社にある100台近くのパソコンの磁気の影響もあったかも知れません。


続いて機体を垂直にし、同様に360度回ります。キャリブレーションが完了すると、インジケーターは緑色の点滅になります
続いて機体を垂直にし、同様に360度回ります。キャリブレーションが完了すると、インジケーターは緑色の点滅になります

 いずれにしても機体が流されたときは、それとは反対方向にかじを取り、いち早くスティックを使って機体を動かさなければならないのです。ファントム3は優秀で、これまで屋外だったこともあり全く苦労もなかったのですが、GPSのない空中を飛ばすことの難しさを改めて感じました。


ドローンフィールドに設置されている充電などができるテントです
ドローンフィールドに設置されている充電などができるテントです

 セキドのスタッフの方も言っていましたが、これまで室内では何回もドローンをカベにぶつけたことがあるそうです。その都度、操縦技術を磨き、また、失敗の原因を探り対処してきたそうです。例えば室内の窓を開けるだけで、プロペラの風が逃げるため、機体が安定することも肌を持って感じたそうです。


今年の夏は雨が多く、ゲリラ豪雨に見舞われテントに避難することもありました
今年の夏は雨が多く、ゲリラ豪雨に見舞われテントに避難することもありました

 残念ながら、社内飛行でこんな失敗をするとは思わなかったので、動画もスチール写真も撮ってなく、前回のコラムは再現映像となってしまいました。これからは屋内、屋外ともに操縦技術を向上させ、あらゆる映像をお届けできればと思います。次回もお楽しみに。【写真部・鹿野芳博】


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