ブラジルに雪を降らせたいわ~。リオデジャネイロ・パラリンピック車いす卓球女子の別所キミヱ(68=兵庫県立障害者スポーツ交流館)が5日(日本時間6日)、戦闘モードに入った。

 試合会場のカリオカアリーナ3での練習に参加。同男子代表の吉田信一(50)とラリーを約1時間続け、打球の動きや台の感覚を確認した。「あかんわ!!」。会場に関西弁が何度も響いた。別所は「気持ちも上がってきた。4大会目だけど常に挑戦し続けてきた。次こそはメダルを獲得したい。メダルを取ったら、ブラジルに雪でも降るかな。降らせたいわ~」と、冗談交じりに闘志を燃やした。

 91年、骨盤の一部に腫瘍が見つかり、車いす生活になった。リハビリで卓球を始めた。夫を亡くし、卓球に打ち込んだ。04年アテネ大会に56歳で初出場。08年北京大会、12年ロンドン大会は5位だった。

 金髪、付けまつげ、ネイルと美も追い続けている。トレードマークのチョウの髪飾りは「球がひらひらと落ちるように」との願いが込められている。孫のような年代を相手にスピードやパワーでは勝てないため、粘り強くラリーを続け、ネット際にふわりと球を落とす“嫌らしい卓球”を目指している。

 別所は笑いながら言う。「昨日、友達からLINEで『髪飾りはチョウじゃなくで、蛾じゃないの』と送られてきた。思わず、笑ったわ。蛾でも何でも良いから勝ちたいんや」。日本選手団最年長のおばちゃんのスイッチが入った。