【金子真仁カリフォルニア編Ⅲ】高橋光成が「最高です」と言ってた絶景/連載〈16〉

旅が好きです。日本の全市区町村の97・3%を踏破済みです。その遍歴は球界関係者に興奮されたり、どん引きされたり。かけ算の世の中、野球×旅。お気楽に不定期で旅します。題して「野球と旅をこじつける」。第16回は日本列島を飛び出して、アメリカ合衆国・カリフォルニアへ―。全5回でお届けします。

その他野球

ハンティントン・ビーチ

眠い。かれこれ日本の自宅で起床してから25時間は経過した。私はいま、夢の中じゃなく、夢のカリフォルニア。

少年時代、夜更かしが怖かった。眠れずに朝を迎えたら眠くて何もできず、大きな失敗をして怒られるんじゃ…。そう考える面倒な少年だったから、母や弟が見ていたドラマ「東京ラブストーリー」のエンディングテーマ(午後10時近くに流れる)は、当時は聞いちゃいけない絶望の曲だった。

そんなドラマのヒロイン、赤名リカが転勤願いを出したロサンゼルスに、いま自分はいる。勝手に浸る。浸りながら海に来た。

サーファーに人気のハンティントン・ビーチが、旅初日の宿泊地だ。その少し北側、ハンティントン・ハーバーにある「ハンティントン・ハーバー・ヨットクラブ」に立ち寄った。プライベートクルーズを楽しめるそう。

ひげの男性が、服は赤くないけれど「アイム、マリオ!!」とテンション高く出迎えてくれた。こういう時に「Nice to meet you!」と切り出すべきことは、カリフォルニアに到着して10時間くらいたったので、そろそろ分かっている。

風が強かったので海には出られない。彼が操縦するアレクサンドリア号で、ハーバー内を進む。船尾の星条旗風の旗が風でなびく。それだけでかっこいい。幅100メートル前後の水路を行く。両サイドには高級邸宅が並び、家の前には豪華な船が停泊する。

「あれ、1000万円くらいするんですかね?」

「何言ってるの!? 億だよ、億!」

歴戦の旅行ライターの皆さまからすかさず突っ込まれる。大谷の10年1000億円は想像さえできないけれど、目の前に「億」の資産が並び一気に現実感がわく。

そういえば大谷らドジャースナインは、ちょうど私たちと入れ違いで開幕戦のため韓国へ向かったそう。空港での真美子夫人との2ショットが、ツアー一行でも話題になった。

プライムリブ

白ワインが開く。1センチ飲むだけで一気に眠くなる私はさておき、お酒を愛する人にはたまらないシチュエーションだろう。東京ディズニーシーやハウステンボスのアトラクションみたいだけれど、ドラクエ11ならダーハルーネの街だけれど、ここは紛れもない現実世界。その真ん中を異国庶民の自分が船で突っ切る。ちょっと気持ちいい。

船内にパンフレットがあった。クルーズ船で海上散骨、とある。でかいなぁ、アメリカ。でかいといえば人気レストラン「デュークス」で食べたプライムリブもでかかった。

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1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。