<サッカー:U-12ワールドチャレンジ2013>◇27日◇東京Vグラウンド

 バルセロナの下部組織でプレーする日本人小学生の久保建英(たけふさ)君(12)が、注目の凱旋(がいせん)試合で鮮烈なゴールを奪った。

 開幕ゲームとなった1次リーグ(25分ハーフ)の東京V戦に、4-2-3-1布陣の左ウイングで先発。開始から59秒、ペナルティーエリア内でパスを受けると、左45度の位置から利き足の左で強烈なシュートをたたき込んだ。

 その後も素早い判断に的確なボールコントロール、タイミングのいい動きだしで次々とチャンスを演出するなど、日本の名門チームを子ども扱い。ハーフタイムにベンチに退いたが、後半途中からボランチで出場すると、絶妙なスルーパスも披露。何でもこなせるポリバレントな能力を見せつけ、チームも一方的な内容で4-0と快勝した。

 続く2戦目のC大阪戦も、第1戦に続いて左ウイングで先発出場。前半15分、得意のドリブルで持ち込み、またも左45度の位置から強烈な左足シュートで先制ゴールを奪った。久保君は前半だけでピッチから退いたが、バルセロナは大人さながらの技術、戦術を見せつけ、5-0で大勝した。

 この日、久保君は2試合で2得点と期待にたがわぬ大活躍。新シーズンに向け、チームはまだ2回しか練習をしていない中で、周囲との息の合ったプレーは光った。

 そんな久保君の出来について、ナバーロ監督は「ポジティブなプレーだった。ゴールも決めてくれたし、我々は満足している」。久保君のプレースタイルが誰に似ているかと問われると、同監督は「イニエスタのようだし、今日はウイングでプレーしたという点でペドロのようだった。ただ誰かのようではなく、タケフサはタケフサであってほしい」と期待を込めて話した。

 久保君は世界随一の名門クラブ、バルセロナから将来性を買われ、川崎Fの下部組織に所属した小学4年生の夏に10歳でスペインへと渡った。「日本のメッシ」として注目度は高く、この日の試合会場には、久保君見たさに約2000人もの観衆が押し寄せ、多くのテレビカメラが姿を追い続けた。

 なお、大会は30日まで行われ、海外からはバルセロナのほか、リバプール(イングランド)、チョンブリ(タイ)が参加。Jリーグの下部組織、東京都選抜を加えた計12チームが優勝を争っている。