【バンコク12日=田口潤】石川遼(18=パナソニック)が「遼軍団」を旗揚げした。この日、タイ・アマタ・スプリングCCで合宿を開始。今年から石川の個人事務所とマネジメント契約した若手プロの山形陵馬、大江香織(ともに19)も参加した。同世代でツアー優勝争いをするのが夢と言う石川は早速、2人を熱血指導。切磋琢磨(せっさたくま)しながらともに成長していくため、同じ夢を持つ同世代に「遼軍団」参加を呼び掛けた。

 「軍団」を率いる自覚だった。タイ合宿初日の打球練習場。石川は髪を振り乱し、手取り足取りで、今季国内女子ツアーに参戦する大江にスイングのアドバイスを送った。マンツーマンの熱血指導は20分を超える。その間に、男子ツアー出場を目指す山形にも声を掛ける。年齢では1歳上の男女プロを率いた石川の「遼軍団」の本格始動だった。

 石川の所属事務所ケーアイ企画は昨年から、新たにマネジメントする選手を探してきた。「できあがった人ではなく、一緒に育っていく選手」(ケーアイ企画の新井ユタカ氏)。石川と同世代の選手に対象を絞り、ともに19歳で将来性のある大江と山形に注目。2人はジュニア時代に石川と面識があり、考え方も一致したことで、「遼軍団」入りが決まった。

 この日、大江は石川に「アイアンの飛距離が出ない」と悩みを相談した。石川は大江のスイングをまねながら改善点を指摘。グリップを少し前に出して構えるハンドファーストで、しっかり球に力を与えるスイングの手本を見せた。大江は「すごくわかりやすくて勉強になった」と手ごたえをつかんだ。山形も「年下だがゴルフへの姿勢がすごい。日本のトップがここまで(練習を)やってると思うとやる気になる」と「18歳のリーダー」から心技体を学んだ。

 昨年暮れは3人で千葉県内の尾崎将司宅を訪問し、ジャンボの指導を受けた。この日からは初の合宿で、午後からは3人で初のラウンドもこなした。今後は練習、合宿など行動をともにし、タイから帰国後の16日からのスキー合宿(新潟・湯沢)も合同で行う。

 石川自身も「遼軍団」結成に刺激を得た。「2人とも真剣だし、並んで練習するだけで、張り詰めた空気になった」。ジュニアへの指導はしてきたが、同じプロに対しては初めてだった。「忘れていた基本が頭に入ってくる。自分のため、お互いのためになる」と、教えることの効果を口にした。

 かつて尾崎将司がジャンボ軍団を結成。合同自主トレなど開催し、互いに競い合ってレベルを高めた。「遼軍団」の狙いも同じだ。「将来は同世代で、ツアーの優勝争いをすることが夢になる」と、今後も同じ夢を持つ同世代に「遼軍団」の門戸を開いていく。もっとも、名称については「『遼軍団』ではなく『チーム遼』でいいんじゃないですか」と横文字を選択した。今後「チーム遼」のメンバーが増え、高いレベルで競えば、男女ツアーの活性化にもつながりそうだ。