ゴルフのリオデジャネイロ五輪強化指定選手による第1回強化合宿が28日までの2日間、沖縄・喜瀬CCで行われた。参加選手は強化指定選手男女各8人のうち、参加者は渡辺彩香(22)鈴木愛(21)と前日27日のみの成田美寿々(23)の3人だけだった。

 五輪合宿なのに、参加選手が3人だけ…。そこにはゴルフ特有の事情がある。今回、現場でアドバイスを行った五輪ゴルフ競技対策本部の倉本昌弘強化委員長(60)は「女子は今週(3月3日)に開幕する。男子は日程的に問題なかったけどね。でも、そこは仕方ない。当然でしょう。みんなプロで、それぞれ生活権があるわけですから」と説明する。

 ゴルファーは普段から個別練習が常。また五輪まで急激に実力アップするものでもない。さらに言えば、男子の代表筆頭候補の松山英樹(24)らは米ツアーを転戦中で参加は物理的に不可能だった。このため、五輪合宿は今回が最初で最後となる。

 倉本強化委員長は「リオでなく、東京五輪までで考えたい。全体のレベルアップが最終的に代表の底上げになる」と説明。第2回合宿は今年のオフになりそうだ。

 しかし、成果がなかったか、と言えばそうでもない。渡辺は「倉本さんも実際に打って見せてくれたり、すごく勉強になった」という。また前日にはリオ五輪の開催コース、オリンピック・ゴルフコースの映像も見て、グリーン周りはラフがなく刈り込まれているなどの特徴を把握できた。

 鈴木は渡辺以上に成果を強調した。倉本強化委員長、小林浩美強化副委員長(53)に練習やラウンドでアドバイスをもらったことで「普段はコーチに教わっているけど、同じプレーヤー感覚で教わるのは違う。“こんな感じで”というイメージがわかりやすかった。おかげでスイングも球筋もすごく安定しました」と喜ぶ。

 渡辺、鈴木とも最終的な五輪のターゲットは、リオではなく「東京」と位置づけており、収穫の多さを強調していた。