「打倒ウッズ宣言」は出なかった。石川遼(17=パナソニック)が、マスターズ(4月9日開幕、オーガスタ・ナショナルGC)への特別招待の報から一夜明けた23日、都内で会見。英語でのスピーチで覚悟を示すと同時に、「目標の順位を言うのは失礼」と興奮を抑えて話した。自分の若さを自覚するように「技術や体力よりも気持ちが大事」と、大舞台を見据えた。これで米ツアー4試合の出場が決定。14歳の時、米国で初めてジュニアの試合に出て予選落ちしてからわずか3年で、世界最高峰の舞台に挑む。

 石川の顔は赤く染まっていた。そのあふれ出す興奮を、必死に抑えようとしていた。「I'm

 so

 excited

 on

 this

 opportunity.I'll

 do

 my

 best

 Transitions

 championship

 and

 Masters!(この機会にとても興奮している。トランジションズ選手権とマスターズで全力を尽くします!)」。日本の報道陣相手に異例の英語スピーチが、覚悟の表れだった。

 一昨晩9時すぎ、自宅で家族だんらんのとき、運命の電話が鳴った。母由紀子さん(41)が出て、受話器を渡された。突然の英語にあわて、聞き取れた言葉は「…invite

 you…masters…」。たった三言だが、十分だった。「(マスターズ委員会から)電話がかかってくると思わなかった。その瞬間はあまり思い出せない」と明かした。

 本来この席は、トランジションズ選手権の会見だったが、事実上の「マスターズ出場会見」に。だが「ドライバー勝負」「打倒タイガー」のような威勢のいい言葉は出てこない。「順位の目標を具体的には言えない。目標の順位をだすことが失礼だと思う」と謙虚だ。戦いたい選手を尋ねられ「戦うということは、僕の口から言えない。会ってみたいのは、タイガー・ウッズ、フィル・ミケルソン、カミロ・ビジェガス」と答えた。まだ対等だとは思っていないのだ。

 初めて米国の大地を踏んだのは14歳。マスターズ前の前哨戦アーノルド・パーマー招待が行われるベイヒルC&Lで開催されたジュニア大会だった。「ミドルホールでドライバーを2回握ったのに届かなかった」と予選落ち。米国のコースの難しさを知った。

 さらに日本ツアーでは昨季ドライバーの平均飛距離(290・37ヤード)で7位の石川も、米ツアーの昨季データをみると73位相当。マスターズが楽しいだけでは済まないと察知している。だから「技術、体力の前に気持ちの問題」と、どんな場面でも精神力で戦い抜く姿勢を見せた。

 米国で打ちのめされてからわずか3年で、世界最高峰の舞台に挑戦する。「自然体でやるけど、絶対、手は震えると思う」。有頂天になっているのではなく、現実を冷静に受け止めているところが、むしろ頼もしい。飛距離を伸ばす鍵となる太ももの太さは、この1年で6センチ増の60センチに。昨年暮れから取り組む筋トレで体重は2キロ増など、米ツアー仕様の体を目指し、今は準備を進めている真っ最中なのだ。【阿部健吾】