【オーランド(米フロリダ州)25日=木村有三】王者タイガー・ウッズ(33=米国)が、遼クンに“辛口エール”を送った。米ツアーのアーノルド・パーマー招待に出場するウッズが公式会見に臨んだ。米3戦目に挑む石川遼(17=パナソニック)について助言を求められると「彼は金魚鉢に入っている(見せ物になっている)」と過熱する人気を心配。自身の経験も踏まえ「他の10代と同じ経験をした方がいい」とアドバイスした。

 ウッズは、真剣な表情だった。「(大会ホストの)アーノルド・パーマーは普通の生活、他のスポーツをすることが大切と言ってたけど、石川選手への試合外でのアドバイスはあるか?」と聞かれ、日本からやってきた17歳の将来を案じたのか、あえて“辛口エール”を口にした。

 ウッズ

 その通りだ。ゴルフから離れて多くの趣味を持つことで、結果的にゴルフも前向きに取り組める。毎日、ゴルフする必要はない。ゴルフがすべてではないからね。大学に行くなど、すべての10代が経験することをすれば、成長につながる。今、彼は基本的に金魚鉢にいる(見せ物になっている)状態。私は、彼が10代を楽しく過ごし、成長することを望んでいるよ。

 自身の経験をもとにした助言だった。天才少年と騒がれたウッズは16歳で米ツアー、ニッサンロサンゼルスオープンに初出場(予選落ち)。だが、すぐにプロ転向せず、アマで着実に実績を重ねた。スタンフォード大に進学後は94年から全米アマ3連覇を達成し、20歳時の96年にプロ転向。ゴルフ部でチームメートとともに戦い、キャンパスで友人らと過ごした時間はウッズにとっても、かけがえのないものだったはずだ。

 ウッズやパーマーから大学進学を勧められた石川は、複雑な心境だった。「大学のことはまだ考えてないですけど、高校の同級生は大学に行くことを考える時期ですからね。僕も勉強したい気持ちはある。大学の生活は高校とは違うのかな、と思ったこともあります」。だが、プロとしてツアーを転戦する現状では、キャンパスライフは遠い夢。釣りやテニス、フットサル、クロスカントリースキーと、興味の対象も広げているものの「触ったり、かじる程度」だ。オンとオフをきっちり切り替えるウッズは、バスケットボール、釣りなどでリフレッシュを図っているという。世界王者のように、“金魚鉢”から抜け出す時間を多くつくることも、まだ10代の石川には必要かもしれない。