<男子ゴルフ:ANAオープン>◇2日目◇18日◇北海道・札幌GC輪厚C(7063ヤード、パー72)◇賞金総額1億1000万円(優勝2200万円)

 過去2度賞金王を獲得した谷口徹(41=フリー)が、6バーディー、1ボギーで2日連続の67をマークし、通算10アンダーの134で単独トップに立った。石川遼(18)が注目される中、わずか6人の報道陣を前に会見し「悪い時でも『遼クン、遼クン』いうのはどうなんやと思うわ?」。04年に元客室乗務員の亜紀夫人(32)と出会った思い出の地で「ストップ遼」に名乗りを上げた。

 ラウンドを終え、正午過ぎに会見場に現れた谷口が、あぜんとした。2日連続の67をマークし、その時点で単独首位だったが、集まった記者は6人。「えらい少ないな~」。その2倍近い報道陣は午前11時57分スタートの石川の取材に回っていた。「遼クンか~。今日はノーコメントでええかな」と、冗談めかした元賞金王の表情はちょっと寂しそうだった。

 谷口は言う。「成績良いときは遼クン、遼クンでいいけど、悪いときまでそうなんはどうなんやと思うわ」。石川とは1月の欧州対アジアの対抗戦ロイヤル・トロフィーでともに戦い、「海外の経験が大きいとちゃうんかな。1月と全然違う」と実力は認めている。だが、一極集中ではツアーの魅力が失われることもベテランとして自覚している。「ストップ遼」への意気込みを聞かれ「(石川は)すごい勢いあるけど、なんとか、是非ね」。真剣な表情で言い切った。

 今大会は忘れられない大会でもある。04年大会のプロアマ戦で、全日空の客室乗務員として会場に来ていた妻亜紀さんにひとめぼれ。「10番(ホール)でしゃべる機会があって…。どうやったかは企業秘密や」とおどけたが、6カ月後の05年3月にはスピード結婚した。そんな縁起のいいコースだが「どういうわけかグリーンが入らん」と、実は苦手としていたコースの1つ。それが、4年ぶりの出場でグリーンを攻略し、トップで予選を通過した。

 2月下旬には運転していた自家用車が高速道路の側壁に激突して左肩を脱臼。開幕戦から3試合を欠場し、賞金ランク25位にとどまっている。今も重い負荷の筋力トレーニングはできていないが、その分、「最近はまじめに練習している。だいぶやる気になってきました」と気合を込めた。

 愛妻からは結婚後、初の海外旅行に行きたいとファーストクラスのチケットが欲しいとせがまれている。だが、今年から副賞が変わったと知り、「勝ったら(主催者に)変えてくれるよう交渉せなあかんな~」。07年日本オープン以来のツアー15勝目が視界に入っている。【阿部健吾】