<女子ゴルフ:明治チョコレート杯>◇最終日◇11日◇北海道・札幌国際CC島松C(6480ヤード、パー72)◇賞金総額9000万円(優勝1620万円)

 強い不動が帰ってきた。6年連続賞金女王・不動裕理(33=フリー)が今季2勝目を挙げ、4年3カ月ぶりの賞金ランク1位に立った。同組イ・ジウ(24)と通算11アンダーで並んで迎えた最終18番で7メートルのパットをねじ込み、劇的バーディーで決着をつけた。沈着冷静な元女王が、思わず右手を突き上げて大興奮。ツアー通算勝利数も48勝となり、日本女子ツアー史上4人目の50勝も目前に迫った。

 ポーカーフェースが取れた。勝手に、派手に、不動の右手が天を指した。最終18番パー5。決めれば優勝の7メートルのバーディーパット。スライスラインをたどったボールはカップ左に止まりかけ、向こう側からポトリと落ちた。不動は「欲深い人間なんですねえ」と照れくさそうに笑った。

 2シーズンぶりの復活Vを飾った5月の中京テレビ・ブリヂストンから、出場5戦でまた勝った。賞金ランク1位に浮上。06年4月17日ライフカードレディス最終日に大山志保に奪われて以来の“定位置”だ。しかし、その座にこだわりは「全くない」という。

 元絶対女王は今、ゴルフに夢中だ。「コースを攻略するのが楽しい。遅いでしょ?」。若手の台頭に歩調を合わせ、ここ1、2年でピン位置が厳しくなった。それがやりがいだ。「テレビゲームみたいに1人で楽しんでます」と笑った。

 13歳の中学生・高橋恵が下部ツアーで勝つなど、ジュニア・若手の台頭は止まらない。「人は人。でも、あんなパットが入る。神様が私に『頑張れ』って。ゴルフでやることはまだまだあります」。当面の目標は計5勝した国内メジャーの奪回。史上4人目の50勝までも残り2勝。圧倒的な技術を誇る実力者が、日本女子ゴルフ界の中心に帰ってきた。【加藤裕一】