アマゴルフを統括する日本ゴルフ協会(JGA)がプロトーナメントで起きた前代未聞のプレーオフ開催に苦言を呈した。9日が最終日のトーシントーナメント(三重・涼仙GC)最終日で暗闇の中、ホールを消化するごとに距離を縮めた異例のプレーオフが開催された。一夜明けた10日、JGA関係者は大会を主管する日本ツアー機構(JGTO)に競技運営の改善を要望する声を上げた。またJGTOは同日、今後も従来通りの手順でプレーオフを開催することを確認した。

 暗闇の中、距離を短縮した異例のプレーオフが開催されたトーシントーナメントから一夜明け、JGA関係者は困惑した表情を浮かべた。最後はアプローチ合戦のような形で決着した状況を受け、あるJGA理事は「まるでテレビのバラエティー企画のようだった。プロ大会としていかがなものか」と話した。

 JGAサイドはJGTO主管のプロツアーでは最終日翌日の月曜日は「次戦大会の練習日」という選手への気遣い、開催コースの営業問題、テレビ中継問題などがあり、簡単に競技を持ち越せない事情を当然、熟知している。その上で、同理事は(1)コースセッティングを慎重に行ってプレーオフを避けるような流れをつくる(2)予備日がなくても事前に会場となるゴルフ場に月曜日のプレーオフ開催の理解を得る、などの改善点を口にした。

 来月11~14日、JGAは男子トッププロが出場する日本オープン(沖縄・那覇GC)の開催を控える。メジャー大会のため最終日翌日の15日が予備日に設定されているが、同理事は「コースセッティングもしっかりやっている。もしプレーオフになっても暗闇ではやりません」と強調。ゴルフの人気や普及面も考慮し、別のJGA関係者は「JGTOのツアーディレクターや競技委員会もさまざまなことを想定してやってほしい」と期待を込めた苦言を呈した。

 一方、JGTOは同日、今回のプレーオフ開催までの手順が問題なかったことを確認した。JGTOは「予備日がない中で、最善の方法を取った。主催者にも了解を得て決めたプレーオフでした」と説明した。ファンからの抗議電話も一切なかったという。この日も選手会から特に異論や要望は出ず、これまで通りの規則に沿ってプレーオフを開催していく方針だ。

 ◆トーシントーナメント最終日のプレーオフ

 雷雨による中断の影響で、全選手のホールアウトが遅くなる中、池田勇太と呉阿順(中国)が通算18アンダーで並んでプレーオフに。18ホールの繰り返しで行われ、1ホール(H)目は従来の距離(574ヤード)でプレーした。しかし日没間近で暗くなり、コースを投光器やカートのヘッドライトで照らした上、ホール消化ごとに距離を縮めて開催。2H目はグリーンフロントエッジまで145ヤード、3H目はグリーンフロントエッジまで100ヤード、4H目はカップまで45ヤードにティー位置を変更。日没直後の4H目に2オン1パットの池田に対し、呉が1オン1パットを決めて初優勝した。