<男子ゴルフ:つるやオープン>◇第2日◇25日◇兵庫・山の原GC山の原C(6804ヤード、パー71)◇賞金総額1億1000万円(優勝2200万円)

 プロ7年目の重永亜斗夢(あとむ、25=ホームテック)が、5バーディー、ボギーなしの66で回り、通算8アンダーで片山晋呉(41)と並び首位で決勝ラウンドに進んだ。潰瘍性大腸炎と花粉症に苦しむ“スリムなアトム”が初優勝へ馬力をかける。

 最終の9番パー4(489ヤード)。重永が最後に力を振り絞った。距離の長い超難関ミドル。第2日も平均ストローク4・465で難易度NO1だった。第2打は残り206ヤード。エッジまでは180ヤード。「そこ(エッジ)までいけばいいや」と6番アイアンで打った。ボールはグリーン左のグラスバンカーを飛び越え、ピンまで4メートルにつけた。

 名前を「鉄腕アトム」からもらった重永がアトムの絵が描かれたボールマーカーでマーク。残り4メートルを沈め、この日5つ目のバーディーを奪取した。ボギーなしの5バーディー。8位から一気に首位タイに浮上した。

 171センチ。シーズン前には61キロあった体重がいまは50キロ台に落ちている。ラウンド中には「9番のティーで2人組のおばちゃんに“やせとるねえ”と心配されてしまいました」。昨年8月、難病指定の潰瘍性大腸炎だと診断された。安倍首相も同じ病気で苦労している。「きょうは午前スタートで、あまり食べていないので1回、やばいと思ったくらい」で助かった。

 薬を飲みながらの参戦だが、実力は確かだ。昨秋に今季のツアー最終予選会(QT)を1位で通過、前半戦の7試合の出場権を得た。前週の国内開幕戦は花粉症でマスクをして出場し、予選通過を果たした。「もう予選会には戻りたくない。今季は最低でもシード権が欲しい」。昨年開幕戦の東建ホームメイト杯第1日以来の首位で決勝ラウンド。ツアー初優勝へ、あと2日。ゆくぞ、アトム!【町野直人】

 ◆重永亜斗夢(しげなが・あとむ)1988年(昭63)9月14日、熊本県生まれ。8歳でゴルフを始め、06年全国高校ゴルフ春季大会優勝。日大を中退し08年プロ転向。ツアー最高成績は昨年の東建ホームメイト杯の15位。昨年賞金は約642万円でランク96位。鉄腕アトムにちなんだ名前には「アジアで1番になれ」という意味が込められている。170センチ。

 ◆潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)大腸の粘膜が炎症を起こしてただれ、びらんや潰瘍ができる病気。米国のジョン・F・ケネディ元大統領も患っていたといわれている。下痢や血便、腹痛が主な症状。原因不明の難病だが、適切な治療を受ければ日常生活での支障はないとされる。