<女子ゴルフ:LPGAツアー選手権リコー杯>◇第3日◇29日◇宮崎・宮崎CC(6428ヤード、パー72)◇賞金総額1億円(優勝2500万円)

 日本女子ゴルフ史上9人目の「国内メジャーでのツアー初優勝」へ、プロ7年目の穴井詩(らら、27=GOLF5)が王手をかけた。この日のベストスコア67で通算11アンダーとし、首位に浮上した。近年は激減した研修生を経験した、異色の帰国子女プロが今季ツアー最終日に勝負をかける。

 強風が吹くコースで、穴井の強打が威力を発揮した。強いアゲンストとなった400ヤードの最終18番パー4。豪快なドライバーでフェアウエーへ。ピンまで残り138ヤード、打ち上げの第2打を、8番アイアンでピン左5メートルにつけた。

 「1メートル膨らませて、カップの上で止まるイメージで打った」。ホール別難易度1位の難所で最後のバーディーを決めた。昨季のイーグル数は歴代最多タイの11個。この日の67は飛ばし屋の真骨頂だ。

 異色の帰国子女プロ。教師の父幸二さんが米国ボストンの日本語学校に赴任したため、13歳から6年間は米国で暮らした。現地の大学を中退し、米ツアープロを目指したが、父にもらった「1年分の学費」というゴルフ資金を使い切り、07年に帰国。日本で3食付きの研修生として1年を過ごし、プロになった。

 「自分の意見を言っちゃあダメと言うか…。ちょっとしたカルチャーショックがありました」。研修生時代の上下関係は、自由気ままな米国暮らしと真逆なため、性格も引っ込み思案に。有言実行でブレークしたツアー仲間・成田美寿々らと親交を深める中で、日本になじんでいった。

 勝つ準備はできている。9月の日本女子プロで1打差2位。第3日の後半15番からの3連続ボギーがV逸につながった。弱点はメンタルと自覚し、この日はコース内のリーダーボードを一切見なかった。「明日は明日、なるようになります」。苦い経験を糧にし、今季ツアー最終日に頂点に立つつもりだ。【加藤裕一】

 ◆穴井詩(あない・らら)1987年(昭62)11月11日、愛知県岡崎市生まれ。ゴルフは11歳から。米国ノバ・サウスイーストン大中退。08年プロテストに合格。12年に賞金ランク46位で初シード。今季は日本女子プロ2位を最高に10位以内10回で獲得賞金5128万8279円で賞金ランク17位。9月の日本女子プロゴルフ協会公認のドラコンで275・5ヤードを記録し、2位。165センチ、58キロ。

 ◆穴井の日本女子プロ(9月11~14日、兵庫・美奈木GC)

 通算3アンダーで首位と4打差2位スタートした第3日、同4アンダーの首位タイで迎えた15番から3連続ボギー。最終日は3打差7位から出て69をマークしたが、通算4アンダー。優勝した鈴木愛に1打及ばず2位に終わった。