<GG BOYZ・結成1周年インタビュー>

「プロ」の冠が、自分の世界を広げてくれた。人気プロゲームチーム「GG BOYZ」のインタビュー第3回は、えとな(20)に迫る。17年12月の結成から、プロとして過ごした激動の1年で得たものとは。

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──メンバーの皆さんに、18年を表す漢字1文字を書いていただきました。えとなさんは「世」。選んだ理由を教えてください。

 えとな まずは、世界一の「世」です。そして、GGに入ったことで、無名だった自分の名前を世の中に知ってもらえた。いろんな人とつながりができて、世界観が変わりました。両方の意味を込めて決めました。

──全ての始まりは、チームを結成して初めての公式大会、第3回スプラトゥーン甲子園の全国優勝でした。プロとして挑んだことで、これまでとは違うプレッシャーがありましたか?

 えとな やばかったです(笑い)。プロとしてのプレッシャーもありましたし、ナモン(ダイナモン)が第1回からずっと出ていたので、予選からそれを支えなければいけないという思いもありました。いろんなプレッシャーで、全国大会の試合が始まるまでは本当につらかった。でも、いざ試合が始まったら楽しめましたね。

─なぜ楽しめたんですか?

 えとな なんだろう。やっぱり、3ヶ月以上も本気で練習していたので、落ち着けていたんだと思います。いつも通りやれば絶対に優勝できるという手応えがあったからかもしれません。試合前までは緊張していても、スプラを触った瞬間に全てがぶっとんだというか…。相手が強いことも含めて、楽しめていました。

──プロになってからの、ご自身の変化を教えてください。まずは練習面。スプラトゥーンへの取り組み方は変わりましたか?

 えとな かなり変わりました。プロになる前は、いろんなゲームをする中でスプラも触るという感じでしたが、今は暇があればスプラを練習しています。無理に時間をつくるわけではなくて、自然に、楽しみながら練習ができています。練習時間は2~3倍くらいになりました。スプラは1人でも練習できるので、ガチマッチで潜りまくっています。レートが追加されてからモチベーションが上がって、1位を取るためにずっと練習したり。自然と努力ができるようになりました。

──この1年で、多くの方から注目されるようになったかと思います。ご自身の立ち振る舞いについても、変化はありましたか?

 えとな 言葉遣いは、すごく変わりました。例えば、SNSで自分に対して否定的なコメントを見かけた時。昔は我慢できずに、すぐに反論したりして、突っかかってしまいました。でも、それじゃいけないと思い直しました。僕にはプロとしての立場があります。成長しなきゃいけない。そう思うようになってからは、同じことがあってもスルーです(笑い)。昔の自分の写真を見ると、トゲトゲしていた気がします。今は丸くなりました(笑い)。周りからもそう言われます。

──何がきっかけで、そう思えるようになったんですか?

 えとな プロになったことです。自分の中の、世界観ががらっと変わりました。プロになる前は、ただゲームをしているだけでした。単純に、自分が楽しければいいって。けれど今はいろんな方が応援してくれて、支えてくれている。その期待に応えたいと思ったので、突っかかっている場合じゃないんです(笑い)。視野が広がった先に、もっと楽しい世界があることに気づきました。支えてくれた人の期待に応えて大会で勝つ楽しさや、配信で人との交流が増える楽しさを知りました。プロになって、もっとゲームが楽しくなりました。

──そんな姿を見る人が増えて、ここ数年でプロゲーマーを目指す小中学生が増えた。彼らの場合は、まず親御さんに理解をしてもらうことが重要になる。彼ら、彼女らに向けて、アドバイスをいただけますか?

 えとな 僕の場合は両親が最初から理解があったので、偉そうに言えることではないんですが、まず熱意を見せることが大事なのかなと思います。子供が熱中して、頑張っていれば、きっと親御さんも分かってくれると思うんですよ。そこだけはゲームもスポーツも同じはず。熱意を見せて、ずっと練習して、プロ野球に行く。こういう時代になってきたこともあるので、自分の気持ちをぶつけていけば、親御さんも納得してくれると思います。

──プロ2年目の19年は、昨年以上に注目を浴びる年になるかと思います。今年の目標を教えてください。

 えとな チームとしては、出場する予定がある甲子園の全国大会でしっかり優勝、連覇をしたい。そして、選んでもらえたらですが、NPBさんの大会でも優勝したい。それから個人では、引き続き配信を頑張っていきたい。18年以上に、いい年にしたいと思います。

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<えとな・こぼれ話>

インタビューを行う前に、色紙に筆ペンで「18年の漢字一文字」を記してもらいました。

メンバー4人の中で、誰よりも熱心に下書きを重ねていたのが、えとな選手。「僕、字が下手くそなんですよ」と言いながら、少しでも納得のいく仕上げにしようと、下書き用紙に13個の「世」を書き込んでいました。「これでいきます!」と本番を書き終えた時、右手の甲は墨汁で真っ黒になっていました(笑い)。

インタビューでは、この1年で練習量が飛躍的に増えたという話がありました。結果にこだわり、地道に努力を続ける姿勢こそが、躍進の理由なのだと感じました。