この勝利は先発・高橋遥人のおかげだろう。連日のブルペン酷使から少しでも長い回を投げてほしいという期待のかかるところで6回1失点の好投である。
ヤクルト奥川恭伸も5回まで無失点。それでも本拠の先発投手が陥りがちな「6回のワナ」的な感じで阪神が一気に4点を先制した。高橋もこれでホッとしたワケではないだろうが6回に1失点。この回限りでマウンドを降りることになったのである。
高橋に関しては、このコラムで約1カ月前に“不思議な現象”を書いた。その時点で19試合に先発していた高橋だが、そこまで一度もタテジマのユニホームを着ていないというものだ。甲子園での試合も2試合に登板していたのだが、いずれも企画ものでタテジマではなかった。
結局、それを着たのは今月9日の広島戦(甲子園)、実に20試合目だ。不思議だなと思って、後日、本人に聞いてみた。「(タテジマを)着てないのは知ってました。着た感想? 感想は特にありません。はい」。笑顔を浮かべながら、例の不思議な話しっぷりで答えてくれたものだ。
不思議、不思議と書いたのでマジック減らしに成功したこの試合で、少しそう感じたことに触れたい。5-1になっていた7回2死満塁の場面だ。「7番・遊撃」のスタメンだった元山飛優に回ったところでベンチが動いた。
代打・木浪聖也。かつての満塁男は期待に応え、2打点をマークする左前打を放った。さらに伏見寅威がこの日4打点目の適時打。「あそこは木浪で勝負をかけなければ」と指揮官・藤川球児はこの場面を振り返った。それはいい。
おやと思ったのはその次だ。9番・高橋のところで代打・熊谷敬宥。野球好きならお分かりだろうが、ここで一気に「遊撃手3人」が絡むことになったのである。7回から熊谷を外野に入れるのかなとも思ったが遊撃に入り、結局、木浪は代打で終わった。
この日はブルペンを厚くし、野手のベンチ入りは少なかった。残りのメンバーを見ても内野の控えは植田海だけ。何かあった場合、高寺望夢や中野拓夢も遊撃を守れる。それでも捕手同様に“特殊なポジション”で思い切ったことをするとは感じたのだ。もちろん内部のことは分からない。それでも連覇へ向け、こういうところでも繊細さは大事なのでは…と感じた。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




