60試合に短縮された異例の20年シーズンで、ドジャースが32年ぶり7度目のワールドチャンピオンに輝いた。レイズとのワールドシリーズ(WS)は6試合で4勝2敗。ド軍がチーム打率2割5分1厘、12本塁打で32得点だった打撃結果に対し、レ軍は同2割1分6厘、9本塁打で22得点だった。勝敗を分けた差は総合的な攻撃力だけでなく、基本的な投手力にもあった。

ド軍の総得点のうち、約1/3の11得点は四球が絡んだもの。6試合でレ軍の投手陣から25四球を選び、得点につなげることが多かった。初戦が象徴的だった。レイズ先発のグラスノーが4回に先頭の4番マンシーに四球を与え、1死から6番ベリンジャーに先制2ランを浴びた。5回は先頭の1番ベッツ、2番シーガーに連続四球。これをきっかけにしてこの回4失点し、試合は決まった。

レイズの投手陣は球数が多く、投げにくさを感じているようだった。レギュラーシーズンでメジャートップの118本塁打を放ち、1番から9番まで気が抜けないド軍打線。1点が重くのしかかる短期決戦で1発を恐れ、失投は避けたい。それが四球につながり、失点する。一方のドジャース投手陣はストライクゾーンでしっかり攻め、6試合で16四球。無駄な四球は極力、与えなかった。

もちろん、長打を防ぐために、あえて四球を与える場面もある。ただ、先頭打者への四球や2死からの四球で失点を繰り返していては、勝つ確率は下がるだろう。WSで2戦2勝を挙げたド軍のエース左腕カーショーは与四球率(9イニングあたり)2・31で、右腕ビューラーは1・5。レ軍のエース左腕スネルは3・6で、2戦2敗を喫した右腕グラスノーは8・68だった。

今回のWSでドジャースは本塁打だけでなく、四球から盗塁や犠打を絡めて1点を取りにいく野球も見せた。投球のリズムを崩し、時には流れを変えるきっかけにもなる。投手にプレッシャーを与え続けたドジャースに対し、攻めきれなかったレイズ。その点でも差が出たシリーズだった。【MLB担当=斎藤庸裕】

(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)

トロフィーをかかげ喜ぶカーショー (AP)
トロフィーをかかげ喜ぶカーショー (AP)