【記者田村藤夫の成長編】中日涌井秀章にまさかの直撃取材 どうしても聞きかったこと

今回の田村藤夫氏(66)の「プレミアムリポート」は、中日涌井秀章投手(39)への直撃取材に見る「記者田村」の成長編です。涌井投手は、5月23日のファーム・リーグ、DeNA―中日戦で先発しています。6回で108球を投げ、9安打4三振2四球の4失点という内容でした。今回、田村さんは横須賀に23日、24日と、2日連続でこのカードの取材に出向いており、その中で涌井投手を取材する機会に恵まれました。担当記者としては思いがけずも、田村さんからは取材予定になかった涌井投手への直撃取材を聞き、その中で感じたことをお届けします。

プロ野球




◆涌井秀章(わくい・ひであき)1986年(昭61)6月21日、千葉県松戸市生まれ。横浜高では2年春にセンバツ準V。04年ドラフト1巡目で西武入団。13年オフにFAでロッテ移籍。19年オフに金銭トレードで楽天移籍。22年オフに阿部寿樹とのトレードで中日移籍。最多勝利4度(07、09、15、20年)沢村賞(09年)ゴールデングラブ賞4度(09、10、15、16年)。08年北京五輪、09、13年WBC日本代表。16年にモデルの押切もえと結婚。昨季まで通算517試合に登板し、166勝167敗、37セーブ、16ホールド、防御率3・58。185センチ、85キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸7000万円。


◆田村藤夫(たむら・ふじお)1959年(昭34)10月24日、千葉・習志野出身。関東第一から77年のドラフト6位で日本ハム入団。93年に初のベストナイン、ゴールデングラブ賞を受賞。93年オフ、巨人長嶋監督からFA移籍でのラブコールを受けたが、日本ハムに残留。96年オフには、ダイエー(現ソフトバンク)王監督から直接電話を受け、移籍を決断した。07年からは、中日の落合監督に請われ入閣。捕手としてONと落合氏から高く評価されたが、本人は「自分から人に話すことではない」とのスタンスをかたくなに守る。42年間のプロ野球生活を経て解説者に。通算1552試合出場、1123安打、110本塁打。@tamu2272


5月24日に行われたDeNA-中日のファーム試合前の涌井投手

5月24日に行われたDeNA-中日のファーム試合前の涌井投手

■「声をかけてみたんだ。そんな驚くことか?」


ファーム・リポートのために、取材した内容をなるべく詳しく聞いた後だった。田村さんが「ちょっとそれとは別の話なんだけど」と切り出してきた。珍しいなと、少し意外な感じがした。

田村さんはきっちり取材をする。たとえば、ショートに打球が飛んだ時、打球に備える姿勢はもとより「1歩目はどうでしたか?」「捕球した時、走者は一塁までどのくらいの距離でした?」など、普通ならばカバーしきれないほどの細かい情報を、田村さんは実直な語り口で説明してくれる。

「いや、そこは見てないな」と、見てない時は見ていないと答える上で、チェックしていたものは細部にわたり極限まで詳しく解説してくれる。

そういう点で、担当者として原稿にする上ではものすごいプレッシャーもある。なぜなら、そこまでしっかり観察し、かみ砕いて解説してくれるのだ。それをネットでは読者の方にチェックしてもらえる。野球ファンの方々に、しっかり伝えたい。分かりやすく、プロの視点を届ける責任がある。

ゆえに、担当者との取材時の打ち合わせ、やりとりは細かい。一区切りした時は雑談はあるものの、ほとんどはそれで終了となる。「ちょっと別の話」など、こちらから振ることはあれど、田村さんから切り出すことなど、この7年間でほんの2、3度あるか、ないか。しかも、追加取材となると極めて稀と言えた。


担当者 どうしました?

田村さんいや、実はさ、涌井がいたんだよ。

担当者そうですね、ファームで投げてますものね。

田村さんうん、それで試合前にベンチにいたら、涌井が練習からあがってきたんだよ。

担当者はい。

田村さんそれで、ちょっと話し掛けてみたんだよ。

担当者えっ!田村さんが? あの涌井投手に?

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1959年(昭34)10月24日、千葉・習志野出身。
関東第一から77年のドラフト6位で日本ハム入団。93年に初のベストナイン、ゴールデングラブ賞を受賞。
93年オフ、巨人長嶋監督からFA移籍でのラブコールを受け(日本ハムに残留)、96年オフには、当時の王監督(現会長)から直接電話でダイエー(現ソフトバンク)移籍を決断。07年から中日落合監督に請われて入閣した。
ONと落合氏から高く評価された捕手だが、田村氏はそうした経緯について「自分から人に話すことではない」というスタンスをかたくなに守る。42年間のプロ野球生活を経て解説者に。プロ通算1552試合出場、1123安打、110本塁打。