ドジャース大谷翔平投手が「史上最高の投手」「人間機関車」に、また1歩近づきました。3日(日本時間4日)、敵地でのダイヤモンドバックス戦に「1番投手兼DH」で出場し6回2安打無失点。打っては6打席に立ち、3安打2四球の大活躍で6勝目をマーク。何と、開幕10試合の先発登板で防御率「0.74」まで良化しました。

1981年にフェルナンド・バレンズエラが、新人ながら開幕8試合で驚異の防御率0.50をマーク。開幕10試合の時点でも防御率1.24を残し、メジャー史上初の新人王、サイ・ヤング賞を獲得しました。その“メキシコの怪童”を超えたことにまずは驚きです。

1913年以降、大リーグで開幕から10試合に先発した投手では、2021年ジェーコブ・デグロム(当時メッツ、現レンジャーズ)の防御率0.56、1966年フアン・マリシャル(ジャイアンツ)の防御率0.59に次ぐ3位の記録。投打二刀流で打者としても本来の調子を取り戻しながら0.74とはたまげました。

18、19年と2年連続サイ・ヤング賞に輝いたデグロムは、その年シーズン前半戦15試合に先発登板して7勝2敗、防御率1.08をマーク。サイ・ヤング賞やMVP候補にも挙がりましたが、右ひじ故障のため後半戦を欠場。残念ながらタイトル獲得はなりませんでした。

一方、ドミニカ共和国出身の「ドミニカンダンディー」ことマリシャルも、その年開幕から5月末まで4完封を含む10連勝、防御率0.80をマーク。最終的に25勝6敗、防御率2.23でリーグトップのWHIP(1イニングあたりの許走者数)0.86を残し、当時ドジャースにとって憎きライバルのエースとして君臨しました。

さらに驚いたのが、メジャー通算11度目の先発登板で5イニング以上を投げ、なおかつ被安打数と同じか、それ以上の安打数を記録したことです。これが1900年以降の近代野球史上、殿堂入りウォルター・ジョンソンの通算16度に次ぐ記録だそうです。

「ビッグトレイン(人間機関車)」の異名を持つ伝説の剛速球投手、ジョンソンと言えば、1907~27年にワシントン・セネタースで投げまくり、サイ・ヤングの通算511勝に次ぐ歴代2位の417勝をマーク。不滅の大記録と言われた通算3508奪三振を誇りました。

とにかく、彼の剛速球は伝説的で、2ストライクを取られた打者がすたすたとダッグアウトに帰ろうとしました。球審が驚いて「おい、どこへ行くんだ?」と尋ねると、「どうせ速くて見えないんだから、もうたくさんだ」と言ったほどでした。

しかし、彼は非常に性格が優しかったため、うっかり打者にぶつけたりすると、そのあとは遠慮して外角に投げて来ることが多く、バッターにとっては的を絞って楽だったといううわさも伝わっています。それでも、サイ・ヤングをしのぐ「史上最高の投手」という評価です。

その「人間機関車」に次ぐ大記録を成し遂げた大谷翔平。後に打者に専念し、ホームランバッターとして不動の地位を築いたベーブ・ルース同様、たとえ投手に専念しても間違いなく殿堂入りにふさわしい大投手と言えましょう。

【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt’s showtime!」)