マリナーズのイチロー外野手(44)が、マイナーの練習試合で頭部死球を受け、途中退場した。レンジャーズのマイナーに所属する左腕のツーシームが、ヘルメットを直撃して約1分間倒れ込んだ。意識はハッキリとし、自力で立ち上がったが、右ふくらはぎ痛などによる実戦不足を取り戻そうとする中でのアクシデント。24日(同25日)の再検査次第だが、29日(同30日)の開幕まで予断を許さない状況となった。

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 イチローが倒れ込んだ直後、周囲には凍り付くような空気が漂った。「開幕絶望」がよぎったのは記者だけではないはずだ。だが、立ち上がったイチローはケロリとした表情。その後の足取りも安定していた。

 実際、イチローは故障に強い選手としても知られてきた。04年8月18日のロイヤルズ戦で頭部死球を受けた際は「軽い脳振とう」を訴えた。それでも、翌日が雨天中止となったこともあり、2日後の復帰戦では3安打。死球にひるまなかった。今回も偶然とはいえ、前日にヘルメットの内側の緩衝用クッションを交換。頭部全体がフィットするように修正したばかりだった。

 直撃した箇所が頭部だけに楽観視はできない。ただ「超人」イチローだけに、開幕戦では何事もなかったかのように本拠地シアトルで大歓声を浴びているような気がしてならない。【四竈衛】