イチロー外野手が半永久的にマリナーズにとどまることになった。練習を継続し、来季以降は選手として試合にも出場可能。ユニークな契約内容は、本人と球団双方の思惑が一致したものだ。

 当初は故障したレギュラー選手の代役として白羽の矢を立てられた。6年ぶりに思い出深いシアトルに戻ったが、キャンプ途中での合流や右ふくらはぎ故障、実戦での調整不足などが影響し、数字上は振るわない。

 しかし、豊富な経験やムードメーカー的な言動で若いチームメートらを支え、ここまで17勝12敗とチームの好スタートに貢献。首脳陣や選手間での存在感はフロント陣の期待以上だという。かつての球団の象徴、将来の米国野球殿堂入りが確実な功労者という意味もあわせ、生涯マリナーズの一員として働いてほしいという声が球団内で強まっていた。

 一方のイチローも3月の入団記者会見で「それまで当たり前のようにあったものが全くそうでない、特別なものだった」と話したように、マリナーズと本拠地シアトルへの強い思い入れがある。「今、マリナーズが必要としていること、僕がそこに力になれるのであれば何でもやりたい」

 今季は試合に出場できないことで、今後の現役生活にはマイナスだろう。それでも、チーム再建のためイチローがひと肌脱ぐ。