巨人マシソンは、エンゼルス大谷が受けたPRP注射による治療を「僕にとってはミラクルだった」と話した。右肘靱帯(じんたい)断裂で06、08年と2度のトミー・ジョン手術を経験。最後の手術後は担当医から「2~4年後に痛みが来るだろう」と言われた。12年に巨人に入団すると忠告通りに夏場に痛みが増して7月末に登録抹消となった。米国へ一時帰国し、PRP注射を受けた。9月末には2軍で実戦復帰し、10月初めに1軍昇格。驚異の回復で日本一達成の場に間に合った。

 シーズンオフにも2度目の注射を打ち「翌年には何も感じなかった。幹細胞注射と2度のPRPで結局、最後の手術から10年間を投げ抜いた。まさに奇跡だよ」。16年には同僚だったマイコラス(カージナルス)も右肩痛で同じ治療を受けて改善されたという。

 だが、大谷の損傷がグレード2と聞くと眉をひそめた。「ダメージが大きいとPRPは効果を得られない。グレード2、3なら手術がベストと聞いたこともある。グレード2の軽い方なのかもしれないね」。来日7年目の親日家は「大谷の程度がひどくないことを祈っている。だって僕も彼の二刀流を見るのを楽しみにしているから」と早期復帰を願った。【広重竜太郎】

 ◆PRP注射 血液から血小板を大量に含んだ血漿(けっしょう)を取り出して注入し、自己治癒力を利用した治療法。自分の血小板で組織の修復や再生を図るため副作用が少なく、アレルギーや感染症も最小限だとされる。投手の肘の場合は重症だと効果が小さく、復帰まで1年以上を要する靱帯再建手術を行う。スポーツによる障害のほか、一般的にも膝の変形などの治療に用いられている。