ドジャースが32年ぶり7度目のワールドシリーズ(WS)制覇を果たした。

今春キャンプ直前にレッドソックスからトレード移籍したムーキー・ベッツ外野手(28)と、リーグ屈指の救援陣の活躍でレイズを退けた。試合途中には「3番三塁」で出場していたジャスティン・ターナー内野手(35)が新型コロナウイルスの検査で陽性反応を示したことが発覚。祝福ムードの中、物議を醸す結果となった。レイズ筒香嘉智外野手(28)は出場機会なく欠場し、WS3打数無安打でメジャー1年目を終えた。

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異例の20年シーズンの主役は、やはりドジャースだった。ロバーツ監督は試合後の優勝セレモニーで「今年は我々の年だ!」と繰り返し叫んだ。両リーグで今季レギュラーシーズン勝率1位の強さを見せつけ、レイズを圧倒。4勝2敗で32年ぶりの悲願を達成した。同監督は「ようやく成し遂げられて、ただただうれしい」と喜びを語った。

今春キャンプ直前から話題の中心となった。レッドソックス、ツインズを含めた3球団の超大型トレードで、18年のMVPベッツを獲得。一度は破談になりかけたが、粘り腰で交渉成立にこぎ着けた。エース左腕のカーショーを中心に投手陣は盤石。本塁打を量産する打線も破壊力抜群だが、守備力とスピードを兼ね備えたベッツを世界一への最後のピースとして加えた。

6回、同点としてなお1死三塁から、一ゴロの間に三塁走者のベッツが絶好のスタートを切って生還し、逆転に成功した。8回には貴重なソロ本塁打を放ち、「ワールドシリーズで勝つために、トレードで来た。貢献できてうれしい」と振り返った。

一方で、衝撃的な事実も発覚。新型コロナウイルスの検査で陽性反応を示したターナーが8回から急きょ交代する事態となった。周囲に感染を拡大させないために別室で隔離されていたが、優勝セレモニー後の記念撮影には参加。リスクを冒してでも、功労者を歓喜の輪に加えた。シリーズMVPに輝いたシーガーは「彼の気持ちを思うと、心が痛い。彼は僕らと一緒に写真を撮ることに値する」とチームの思いを代弁した。

ポストシーズン開始の9月下旬から約1カ月間、2州の中立地での開催やホテル隔離などの対策を講じ、感染者0の状況で試合を続行してきた。コロナ禍で強行開幕し、世界的パンデミックとも戦い続けたシーズン。最後の最後で主軸選手が感染したドジャースが悲願を成し遂げ、異例の形で幕を閉じた。

◆PS記録

▽ドジャース シーズン最高勝率チームが世界一になったのは、ワイルドカードが導入された95年以降7度目。シーガーが史上8人目のリーグ優勝決定シリーズMVPとワールドシリーズ(WS)MVP同時受賞。左腕ウリアスは、14年バムガーナー(ジャイアンツ)以来2人目の同一PSで4勝とセーブを記録。

▽レイズ アロザレーナが同一PSの本塁打記録を10発、安打記録を29本に伸ばした。新人でWS計3発は39年ケラー(ヤンキース)以来2人目。先発スネルは史上初めてWSで9三振以上1失点以下を2度記録。「1番一塁」で出場した体重260ポンド(約118キロ)の崔志万はPS史上最も重い1番打者となった。