エンゼルス大谷翔平投手(26)に厳しい査定が下った。15日(日本時間16日)、米大リーグは年俸調停の権利を持つ選手と所属球団が希望額を提出する期限を迎え、大谷は球団側と条件面で合意に至らなかった。

米メディアによれば、大谷サイドの希望額330万ドル(約3億4700万円)に対し、球団側は250万ドル(約2億6300万円)だったという。今後は年俸調停委員会の裁定に持ち込まれ、年俸が決定する。

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メジャー4年目を迎える前に、大谷は厳しい現実をつきつけられた。球団の提示額は3億円に届かず、二刀流選手として注目していた米メディアの300万ドル(約3億1500万円)という予想も下回るものだった。ミナシアンGMは「彼はユニークなケース。投げて、打つという選手を査定するときに、比較するものが少ないのは難しい。ベストは尽くした」と話した。チームの選手で唯一、年俸調停に持ち込まれることとなった。

焦点はやはり二刀流だった。メジャー1年目の18年6月上旬まで投打の二刀流で大活躍したが、その後は右肘や膝の手術などケガが続いた。19年は打者に専念し、20年は投手復活をかけて臨みながら、右腕の故障再発で再び打者1本となった。同GMは「彼は両方でプレーできる」と期待を寄せる一方で、「体の状態という点でしっかりとしたプログラムを組めば、(投打で)準備できるだろう」と慎重だ。これまでの故障歴と今後への不安が、今回の厳しい査定につながったと考えられる。

年俸が制限されるメジャー3年を終え、二刀流で活躍していれば破格の年俸となると予想されていただけに、物足りなさは否めない。それでもミナシアンGMは、大谷について「やるべきことをやっているし、彼の今の状態を見て、非常に楽しみにしている」と前向きに話した。コロナ禍でも大型契約に二の足を踏ませないほど、完全なる二刀流の復活が期待される。【斎藤庸裕】

○…選手と球団が希望額を交換した後でも、年俸調停を回避し合意するケースがある。その場合、調停日を迎えるまでに交渉を続け、球団と選手双方の希望額の中間あたりで折り合いをつけることが多い。田沢純一投手もレッドソックス時代、希望額交換後に調停を回避し契約合意している。

◆年俸調停 メジャーの出場登録が3年以上6年未満の選手に調停の権利が与えられ、1月中旬の期限までに球団側と交渉が可能となる。合意に至らない場合は調停委員会にかけられ、選手と代理人、選手会の担当者、球団フロント、大リーグ機構の労務担当者、裁定人らが出席して、選手側と球団側の希望額どちらが見合った金額か、判断される。