メジャー100号のメモリアル弾を達成する直前、エンゼルス大谷翔平はのどかな環境に囲まれていた。

14日(日本時間15日)、アスレチックスとのダブルヘッダー第1試合と第2試合の空き時間のこと。敵地のフィールドに水原通訳と登場し、投手調整で壁当てとキャッチボールを約15分間、行った。それ自体は普段と変わらない日常だったが、動物たちとのコラボレーションはめったに見られない光景だった。

試合間で選手は誰もいない。外野付近では、緑色の天然芝の手入れで水やりが行われていた。同時に、グラウンドキーパーの責任者クレイ・ウッドさん(52)の飼い犬・リーバちゃんが走り回っていた。芝の上に寝そべり、気持ちよさそうにリラックスするリーバちゃん。普段は選手が利用する中堅後方の打撃ケージ周辺にいるようで、クレイさんは「彼女は相手チームの選手ともよく、じゃれ合ってね。去年は大谷とも遊んでいたよ」と明かした。

さらに、上空からは「クァ~」と鳥の鳴き声が聞こえた。サンフランシスコ湾に隣接し、7回に流れる「私を野球に連れてって」の歌を合図に、海からやってくるカモメたち。デーゲームの試合後半の映像には、その影がフィールドに映し出されるほどの大群。客席に人が散らかしたポップコーンなどを狙いにくるカモメたちは、オークランドの球場ならではの光景だ。

田舎のような空気が漂う中、大谷は黙々と次回登板へ向けて調整していた。背後でくつろぐイヌ。海辺からやってきて、上空を飛び交うカモメ。そして大谷は、直後の試合で豪快弾を放った。メモリアルアーチを目前に、二刀流の超人と動物と自然が組み合わさった、つかの間の瞬間だった。

翌15日(同16日)、試合前にリーバちゃんはエ軍のクラブハウスにやってきた。そして、大谷はまた打った。かつて、ゴールデンレトリバーの愛犬エース君を飼っていた大谷。イヌに101号…。果たして偶然なのか。【メジャー担当=斎藤庸裕】