【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)17日(日本時間18日)=斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(31)が、ポストシーズン(PS)で完全なる二刀流を復活させ、チームを2年連続のワールドシリーズ(WS)進出に導いた。ブルワーズとのリーグ優勝決定シリーズ第4戦に「1番DH兼投手」で出場し、3打数3安打3本塁打。投手による先頭打者アーチは史上初で、大谷自身もメジャー8年目で初となった。投手では6回0/3を投げ、2安打無失点10奪三振。今季最多100球の力投で今シリーズMVPに選出された。チームはブ軍を4勝0敗でスイープ。圧倒的な強さで2年連続のリーグ優勝を飾った。
◇ ◇ ◇
もはや、二刀流・大谷のすごみを言葉だけでは表せない。特大アーチが飛ぶたびに、見る者が表情を変え、わかりやすい驚きのリアクションで感嘆した。一方の大谷は、不思議と表情を緩めることなく、ダイヤモンドを3度回った。
「今日この試合以外はやっぱり僕も苦戦してましたし、逆に言えば、僕が打てない時、ムーキー(ベッツ)、テオ(T・ヘルナンデス)、そのほかの右バッター含めて全員がカバーしてくれる試合が多かった」
悔しさがあった分、必ず取り返す。自らのパフォーマンスを振り返った言葉に、気持ちがこもっていた。
左腕を中心にリーグ屈指の投手との対戦が続き、本来の打撃ができなかった。唯一無二のスター選手だからこその宿命だが、2日前の会見では二刀流による打撃への影響を繰り返し問われた。この日の第1打席、左腕キンタナから打った瞬間の豪快弾。雑音をかき消す完璧な当たりだった。「打てそうな感じで打席に立ててはいた」。その実感は、間違いではなかった。4回の第3打席、右腕パトリックの内角カットボールを打ち砕き、右翼の屋根を越える469フィート(約143メートル)の場外弾をかました。
同僚のフリーマン、ロハスらはベンチで驚きのあまり頭を抱えた。それでも謙虚な気持ちは普遍。「打てない人がいる時にしっかり自分が打ったり、または打線が苦しい時に先発ピッチャーがしっかり抑える、そういうカバーのしあいっていうのが大事だと思うので。今日の試合はそれが僕の役割の中で発揮されていたのかなと」。7回の第4打席で中越えに3本目の豪快弾をかまし、興奮と熱狂に包まれた目撃者たちをあぜんとさせた。
前日まで今季PSは打率1割5分8厘と苦戦していたが、シリーズ1勝&3本塁打で一気にMVPを獲得。試合後、特設ステージで記念のトロフィーを受け取り、満員のファンから拍手喝采を浴びながら言った。
「どちらも(投打とも)最高の気分で、声援が力になりました。本当に皆を代表してこれをもらってると思っているので、あと4つ全力で勝ちにいきたい」
エンゼルス時代の6年間はこの舞台にも立てず、悔しさを味わい続けた。耐え忍び、注目を一心に浴びる中で懸命に腕を振り、バットを振った。PSで史上最高と称された二刀流。長年、秘めていたパフォーマンスが大舞台で解放された。



