米大リーグで機械による自動判定、通称「ロボット審判」が始まって約1カ月が経過した。

チャレンジの全体成功率はおおむね54%に収束。守備側の成功率は60%、打者側の成功率は47%となっている。身長168センチのアストロズのホセ・アルテューベ内野手(35)の出塁率が急増したように、人間の審判員との違いも明確になってきた。日本人打者は控えめな選手も多いが、ホワイトソックス村上宗隆内野手(26)は上手に活用している。話題をまとめた。

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○…ABSは当然のことながら、球審による判定の正確さをあぶり出す結果にもなった。メジャーの審判歴30年で球宴やポストシーズンの審判も担当した大ベテランのC・B・バックナーは開幕早々の3月28日のレッズ-レッドソックス戦で球審を務め、1試合で6球もストライク判定をチャレンジで翻された。4月2日付の米紙シンシナティ・インクワイアラが「ベテラン審判は45万ドル(約6980万円)近い年俸を得ている。見合う仕事をすべし」と論じるなど審判への風当たりが強くなっているが、一方で特定の審判が恥をかかされる状況を懸念する声や、審判に敬意を持つべきだと教えられる子供たちへの影響を心配する声もある。

○…テレビ画面からはあまり伝わってこないが、メジャーの試合中のベンチは昨季まで、常に騒々しかったという。選手やコーチらが四六時中、審判の判定に文句を言い、やじを飛ばしていたからだ。レッドソックスのアレックス・コーラ前監督は「昔から、怒声ややじで本当にうるさいし、それが普通だった。今は不満があればチャレンジできるから静まり返っている。雰囲気が百八十度変わった」と明かしている。このため、選手が判定を巡って球審と対立し退場処分になるケースは、今季ここまでまだ1人も出ていない。

○…ABSの導入で、捕手の大きな評価指標の1つ「フレーミング」がまったく無用なものになるといわれていた。際どいコースに来た球を球審にストライクとコールさせる技術は、テクノロジーで厳密に判定されるようになればもはや役立たないと予想されていた。ところが実際に始まってみると「リバース・フレーミング」とも呼ばれる新たな技術が脚光を浴びてきた。これは、際どいがストライクゾーンに入っている球がゾーン外に外れているように見せる捕球技術で、打者にチャレンジさせて失敗に追い込み、審判がボールとコールした場合は自らチャレンジし成功を勝ち取る。ゾーンの見極めとフレーミング技術がむしろ以前より重要なものとなった。

○…チャレンジは打者、投手、捕手が行う権利を有し頭のてっぺんを手でたたくことで申告サインを出すルールになっているが、慣れないこともあってかこのサインにまつわるトラブルも発生している。開幕早々の3月29日にはツインズのデレク・シェルトン監督がオリオールズ戦で、相手のサインを出すタイミングが遅かったにもかかわらず受け入れられたため、激怒し退場処分を受けた。パイレーツのニック・ゴンザレス内野手は4月10日のカブス戦で見逃し三振を取られた瞬間に頭を触ったためチャレンジが認められたが、無意識に触っただけなので取り消してほしいと要求。だが要求は認められずチャレンジとなり、まさかのチャレンジ成功で三振せずにすむという珍プレーがあった。

▽ホワイトソックス・マーティン投手(ESPNで)「私は3Aで多く間違えてきたので、通常は捕手に任せる。必要なことをしてくれると信頼している」

▽ホワイトソックス・マグワイア捕手(ESPNで)「ボールの10分の1ではなく、ボールがゾーン内に入っている割合が多い場合をストライクとするべきかもしれない。何がストライクかについて、より良いバージョンがあるかもしれない」