<マリナーズ6-2アスレチックス>◇12日(日本時間13日)◇セーフコフィールド

 マリナーズ岩隈久志投手(33)が、あと1人の場面でメジャー初完封を逃した。シアトルでのアスレチックス戦先発で9回2死まで無失点。だがモスに2ランを浴びて降板し、初完投もならなかった。それでも8回2/3を投げ、規定投球回数に到達。無四球8奪三振で8勝目(4敗)を挙げ、WHIP(1イニングあたりの許走者数)はヤンキース田中将大投手(25)の1・01を上回る1・00とリーグ4位に躍り出た。

 苦笑いを浮かべるしかなかった。9回裏スコアは6-0。岩隈が、メジャー初完封まであと1死とした場面でア軍モスに2ランを浴びた。直後に交代を告げられ、大歓声と拍手に包まれてベンチに。苦笑いは満面の笑みになった。

 試合後は「(完封は)なかなかできないものですね」。アスレチックス打線に8回まで3安打だけで三塁も踏ませなかった。104球目を痛打されたが、前半戦最後の登板で「しっかり締めたいという気持ちもあった。本当にいい投球ができた」と満足感をにじませる。納得の8勝目だった。

 角度をつけた、低めに伸びる速球の感覚を前回のツインズ戦から持ち込んだ。スプリットの威力も倍増し、1巡目で三振を5つも奪う。2巡目は緩急を使って打たせて取り、めりはりをつけた。今季初めて組んだ女房役のスークレと、しつこい打線を手玉に取った。与四球率0・74はメジャートップで、抜群の制球力は変わらない。

 自身の首振り人形がファンに配布された日の快投でもあった。今季は右手中指の負傷で5月発進となったが、8回2/3を投げ規定投球回数にも到達。WHIPはヤンキース田中の1・01を上回る1・00となり、日本人投手最上位のリーグ4位に躍り出た。チームとともに上向きな調子で後半戦へ。「状態もすごくいいので、後半もどんどん投げていければ」と話す岩隈の視線は、もう先を向いていた。