【鉄道ランプ小屋~車内に電灯のないころ】

明治30年ごろまでの話です。当時の車両は木造で、客車内には電気設備がなく、照明は灯油ランプでした。電灯と比べると、車内は暗かったそうです。

主要駅では、夕方になると車掌が客車の屋根に上る光景が見られました。各車両には2カ所の作業用の窓があり、車掌はそこからランプを入れ、車内につり下げます。一方、灯油の保管庫は「ランプ小屋」と呼ばれていました。多量の灯油を保管するため、建物は頑丈なレンガ造りが主流でした。

給油は列車の停車時間中に行うため、ランプ小屋は列車に近い場所に設置されていました。小屋の中には、灯油のほかに灯具の手入れを行うための器具なども入っていたそうです。その後、1898年(明31)、当時の山陽鉄道(私設鉄道)が車両発電機を採用。電灯が普及し、ランプ小屋の役目は終わりました。

過日、四国のJR予讃線伊予西条駅に下車したら、立派なレンガ造りの「ランプ小屋」が現存しており、うれしくなりました。

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