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第20回 日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞


新人賞

新垣 結衣「ワルボロ」「恋空」

天真爛漫な笑顔を見せる新垣結衣(撮影・神戸崇利)
天真爛漫な笑顔を見せる新垣結衣(撮影・神戸崇利)
受賞コメント映像

発表記事

 新垣結衣(19)が「ワルボロ」「恋空」で新人賞を受賞。この1年で一気にブレークした戸惑いの胸中を明かした。

 1年前「ワルボロ」クランクインで映画界に飛び込んだ新垣は、休みなく走り続けた。春に「恋するマドリ」を、初夏に「恋空」を撮影し、秋に公開した「恋空」が興行ランキング1位に。新人賞をご褒美と思ってもいいはず。しかし、表情に本当の喜びはうかがえない。「何で私が、と思っている?」と尋ねると、小さく笑いながら「うん…」と答えた。

 「恋空」で、レイプ、妊娠、流産とつらい経験を踏む、初恋にいちずな女子高生を演じた。「役と自分が一緒になれないと動けないタイプ」という新垣には、悲しい場面が続く撮影は精神的に苦痛だった。苦労してつかんだ成功と評価。それでも「褒められても素直に喜べないんです。台本の名前が書かれている欄で、新垣結衣の名が前に来れば来るほど、怖くなってくる。まだ自分が自分に納得してないので」と話す。急上昇した世間の評価と、自分で感じる実力の隔たりに、まだ戸惑っている。

 浮かれることなく自分を突き詰める性格こそ「恋空」「ワルボロ」の純粋なヒロイン役にハマった。「女優は、最初からやりたくてやったお仕事じゃない」と話すが、妥協はしなかった。「例えば、ト書きに『涙を流す』と書かれていても、簡単に流す場面じゃないと思ったら変えてもらいました。理解できないまま演じても、うそっぽいから」。

 5日に初アルバムが発売され、歌手業が本格スタートする。「写真を撮る撮られること、絵を描くとか興味のあることをたくさんやって、その中で『私はこれだ』って自信が持てるものを見つけたいんです」。来年前半は女優業に一息入れるが「もちろん、私が探す本当にやりたいことの候補には、女優業も入ってます」とにっこり。可能性が無限だからこそ、100%のガッキースマイルはもう少し先に、お預けだ。【瀬津真也】

 [2007年12月5日 紙面から]

新垣結衣(あらがき・ゆい)
 本名同じ。1988年(昭63)6月11日、沖縄県那覇市生まれ。01年「ニコラモデルオーディション」でグランプリを受賞してモデルデビュー。06年の日本テレビ系ドラマ「マイ☆ボス マイ☆ヒーロー」などで人気に。来年後半にも主演映画「フレフレ少女(仮題)」公開予定。趣味はイラスト、写真撮影。167センチ。血液型A。
「ワルボロ」
 80年代の東京都立川市。優等生のコーちゃん(松田翔太)は、幼なじみで不良のヤッコ(福士誠治)の挑発に乗って大暴れ。しかし、コーちゃんはリーゼントの不良に大変身し、けんかに明け暮れる。コーちゃんには思いを寄せる同級生(新垣)がいた-。隅田清監督。
「恋空」
 校生の美嘉(新垣)は同じ高校のヒロ(三浦春馬)と恋に落ちるが、ヒロの前の恋人から嫌がらせを受け、妊娠してしまう。それでもいちずな愛を貫こうとする美嘉だが、ヒロから別れを告げられてしまう。原作は携帯小説。著者・美嘉の実体験を基に書かれた。今井夏木監督。
新人賞・選考経過
 新垣結衣、夏帆、成海璃子の争いに。「天然コケッコー」で地方の女子中学生を演じた夏帆には「東京出身なのによく頑張った」(上野氏)、「あしたの私のつくり方」などに出演した成海は「目の動きだけで表現した」(寺脇氏)と評価。新垣には「若者から圧倒的な支持を得て、圧倒的な人気がある」(斉藤氏)などの意見が出て、2回の投票を経て選出された。
作品賞&監督賞 「それでもボクはやってない」 周防正行監督
主演男優賞 木村拓哉「武士の一分」
主演女優賞 竹内結子「サイドカーに犬」
助演男優賞 笹野高史「武士の一分」
助演女優賞 樹木希林「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」
新人賞 新垣結衣「ワルボロ」「恋空」
外国作品賞 「硫黄島からの手紙」ワーナー・ブラザース
石原裕次郎賞 「武士の一分」山田洋次監督
石原裕次郎新人賞 該当者なし
ファン大賞 「HERO」「パイレーツ・オブ・カリビアン ワールドエンド」
功労賞 北野武監督、鈴木京香


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