元モデルの歯学博士・照山裕子さんが、口臭が気になる、歯周病が進んできた…歯と口の悩みなど、皆さんの悩みに回答します。

 Q 娘から「お口が臭い」と言われ、大ショックです。ちゃんと歯磨きしているつもりなのですが。

 A 口臭の8~9割は、口の中の汚れが原因です。汚れがたまる場所は決まっていて、歯と歯の隙間と舌。そこのケアをおろそかにしていませんか。「生ごみをためているのと一緒」とよくいわれるのですが、歯ブラシだけでは落とし切れない汚れを放っておけば、当然臭くなってきます。

 歯と歯の間なら、歯間ブラシとデンタルフロス。歯間ブラシは基本的に健康な歯茎の人は入りませんし、使いすぎると歯茎を下げることもあります。ブリッジなど歯間ブラシでないと取れない所は除いて、フロスがお勧めです。1日1回、汚れがたまりやすい所をやるだけでも、口臭は相当減ります。慣れれば30秒もかかりません。男性でフロスをしている人はまだほとんどいませんが、これからの男性はフロスです。

 舌は表面が白くなっていたら、舌を傷つけないように、できれば専用の舌ブラシで、ない場合は軟らかめの歯ブラシをそっとあててとります。

 歯と歯の間も舌もケアしているのに臭うという場合、考えられるのは金属やプラスチックの詰め物やかぶせ物です。金属は変形するので隙間ができ、汚れが入る。プラスチックは食品保存容器にカレーやミートソースを入れたときに色が付くのと同じように色素とか臭いの原因を吸着します。

 詰め物やかぶせ物は、汚れをはじくセラミックを使うのが理想ですが、保険適用の金属やプラスチックにした場合、フロスを使ってチェックしましょう。フロスを通したら、引っかかりがある、引っかかりが強くなってきた、など何か異変が起きている証拠。フロスで日々探り、異変があったら歯科医に行くという習慣をつけるといいですね。

 臭いは個人差があり、自臭症という病気もあります。気になる人は臭いを測定する機器を備え付けている歯科医院で1度測ってみると、出ているガスの種類で何が原因か分かり、原因に合わせた治療ができます。

 ◆照山裕子(てるやま・ゆうこ) 歯学博士。厚労省歯科医師臨床研修指導医。歯と全身の関わりについて幅広く学んだ経験を基に、機能面だけでなく審美的要素にもこだわった丁寧な治療がモットー。分かりやすい解説でテレビ、ラジオにも多数出演している。学生時代はモデル事務所に所属。近著に「歯科医が考案 毒出しうがい」(アスコム)。