松井一郎大阪府知事(55=日本維新の会・大阪維新の会代表)と吉村洋文大阪市長(43)が辞職し、入れ替わりで出馬する4月7日投開票の知事・市長のダブル選で、自民党の知事選候補に急浮上した大阪市出身の俳優辰巳琢郎(60)が10日、出馬を断った。

関係者によると、自民党幹部が8日に東京都内で辰巳と面談し、正式に出馬を要請。10日夕、都内で取材に応じた辰巳は「急なお話でまだ結論は出ていない。早くしないと失礼になる。家族会議も含めて今日中に結論を伝えます」と話していた。その後、自民党関係者に出馬を見送ることを伝えた。

松井氏は、自民党が辰巳への出馬を要請していたことについて「どちらが党利党略か分かったと思う。完全に政策は横に置いたということだ」と批判した。

投開票まで1カ月を切る短期決戦中、自民党は無党派層にアピールできる候補として、知名度が高い著名人を念頭に選定作業を進めていた。京大卒で知性派タレントとしても知られる辰巳は幅広い支持を得られると期待を寄せていた。15年のダブル選でも自民党関係者が辰巳に出馬を打診したが、実現せず、今回も最後まで交渉が難航した。

自民党は、辰巳の回答を受け、候補者の擁立に向けた調整を急ピッチで進める。自民党はダブル選について「選挙の私物化だ」と批判し、「維新に終止符を打つ選挙」とガチンコ対決を宣言している。

一方で大阪維新は11年、15年と過去2回続けて大阪府知事・大阪市長のダブル選では、「大阪維新の会」の創設者である橋下徹前市長(49)の“橋下旋風”で圧勝した。松井、吉村両氏は8日、大阪都構想の住民投票実施時期を巡る公明党との交渉が決裂したことを受け「民意を問いたい」としている。知事選は21日、市長選は24日に告示され、府議選、市議選と同じ日に投開票される。