次期衆院選の前哨戦となる東京都議選(7月4日投開票)が25日、告示を迎える。連載企画「首都決戦 2021東京都議選」で、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの開催是非も争点となる戦いを追う。

政治ジャーナリスト角谷浩一氏(60)が、前回2017年に小池百合子都知事が率いて大躍進した都民ファーストの会の動向など各党の獲得議席予測や自民党総裁選、次期衆院選への影響を分析する。【取材・構成=大上悟】

   ◇   ◇   ◇

前回は都民ファが、127議席中、55議席を獲得して席巻した。だが、前回は小池支持の公明党が今回は自民党との連携を復活。自民党は前回の過去最低の23議席の歴史的惨敗からリベンジを狙っており、勢力図は一変するとみられる。

-告示まで残り2日。各党の議席獲得予測は

角谷氏 都民ファは10議席を割る可能性まであり、非常に厳しい。自民が50議席前後、公明は現有23から18議席ぐらいまで下げるかも。立憲民主党(立民)は現有8から25議席ぐらいまで獲得し、共産は現有18から22議席の躍進とみる。日本維新の会(維新)は現有1を、どこまで伸ばせるか。初参戦の国民民主党は議席獲得を目指す。

-小池氏は都議選をめぐり、都民ファへの応援すら明言していない

角谷氏 小池さんはどこの応援もしにくくなっているのではないか。当選した都民ファ議員も自民や立民など他党の草刈り場となる可能性が高い。小池さんは知事与党が壊滅し議会では自公の言うことを聞かざるを得なくなる。

-首都決戦は衆院選の前哨戦となることが多い

角谷氏 89年は社会党、93年は日本新党が席巻してその後の衆院選に大きな影響を与えた。4年前は小池さん率いる都民ファが大躍進。その後の衆院選で希望の党を作り民進党と合流して野党は分断された。都議選は政策上も日本の縮図みたいなもの。人気政党や、その時の有権者の感情が投票行動に出やすく、それが雪崩を打って衆院選に反映される。

-9月に自民党総裁が、10月21日に衆院が、それぞれ任期満了となります

角谷氏 五輪が予定通りならパラリンピック閉幕の9月5日までは事実上、政局は動かなくなる。菅義偉首相も冒険はしないだろう。衆院選後に総裁選という手もなくはない。先にやった方が得か、後が得か。セオリーならば、総裁選後に衆院選となる。流動的ではあるが、9月6日以降、国会を召集して解散、告示は9月17日か24日あたり、投開票日は10月3日、10日、17日が候補。

-衆院選の当落予測は

角谷氏 今の自民党なら50議席程度減らす可能性があり、単独過半数は厳しくなる。公明党の協力だけでは絶対安定多数を維持できなければ、維新が連立に加わり「自公維」の3党連立が現実味を帯びる。

-野党共闘は

角谷氏 実は都議選で立民と共産は、かなり選挙調整している。共産の基礎票を基に選挙調整ができれば野党の当選確率は高まる。これが衆院選の野党共闘にも影響する。立民には共産アレルギーの議員と野党勢力が勝つための協力は必要と考える議員がいる。来年の参院選まで考えれば共闘が望ましいが、立民の再分裂につながりかねない。