自民党総裁選(29日投開票)に立候補している岸田文雄前政調会長(64)が25日、都内でNPO法人が取り組む貧困や孤立に直面している子どもたちの学習支援現場を訪問した。今後に向けて、親子をサポートするためのデータベース確立、居場所を確保する子どもステーション設置を提案。官民が連携する形で支えることを強調した。

また、野田聖子幹事長代行(61)は、自民党インターネット番組「カフェスタ」に出演して「こども庁」の意義などを語り、子どもを中心とした社会への変革を求めた。

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岸田氏は畳部屋の隅に正座して、子どもたちの学習を見つめた。目の前には小学生とボランティア大学生が1対1で向かいあい、時には笑顔。「いろいろなご事情があるのだとは思いますが、生き生きと学んでいる姿を拝見し、取り組みの意味、重さを目の当たりにした。大きな刺激をいただいた」。都内を中心に経済的困難を抱える子どもたちを支援する団体関係者からも説明も聞き、現状を再認識した。厚労省によると、日本国民の約7人に1人が貧困状態にあると言われている。

岸田氏は2つの新構想を提案した。1つは教育、医療、経済状況などを把握可能なデータベースの作成。各分野が分散して管理されているだけでなく、小、中、高校など連続した管理も不適切な現状だ。2つ目は全国的な子どもたちの居場所確保。「今日は新しい公民館でしたが、地方にいけば老朽化でボロボロな場所も多い。増改築も進めたい」。公共施設を高齢者や子どもたちが共有しながら活動出来る改善にも尽力するつもりだ。補助金等もあるが、支援の多くは、企業等の金銭的、労働的援助で成り立っている。「官民連携のもとに取り組みを支えていくことが大事」と課題も示した。

「格差にしっかり目を向けて、皆さんの所得を上げていくことが大事。一部の人間が成長の果実を独占するのではなく、幅広く底上げして社会をつくっていくことが大事だと強く感じています」。格差解消も同時進行で努めていく【鎌田直秀】