妻のヒロコにもE-Bikeを体験してもらいたいと思い、静岡の伊豆長岡へやってきた。

12月中旬。この日、日本列島は寒波に襲われ日本海の地域では大雪の被害が相次いでいた。さすがに伊豆半島に雪は降らないが、朝は5度以下の冷え込み。コナステイ伊豆長岡(https://www.konastay.jp/)のスタッフさんも「伊豆はこの時期でも自転車で普通に走れるくらい暖かいんですけど、今日は日陰が凍っているかもしれないので気を付けてくださいね」と苦笑いした。

E-Bikeに跨り、ペダルを踏んだ瞬間。「なに、これ~」「変な感じ」ヒロコが戸惑いの声を上げた。いつも乗っている自転車の感覚でペダルに力を入れると、誰かに後ろから押されているようにグンと前に進んだのでビックリ。その違和感が、気持ち悪いという。

「アハハ…なるほどね。でも大丈夫だよ。そのうちに慣れるよ~」

僕が笑い飛ばす。市街地の平たんな道を内浦湾へ向かって進んで行く。車が多いので、時々後ろを振り返り、ヒロコがちゃんとついてきているか何度も確認をする。ひとりの時は自分の安全を考えていればいいが、ふたりの場合はより広い視野が必要になってくる。

E-Bikeで走るのにちょうどいい速度は、時速15~20キロ。そのあたりの速度ならヒロコでも無理なく走れるはずだが、車が多いと心配で、どうも落ち着かない。2キロぐらい走ったところで、右手に車の走っていない道が見えたので、ちょっと寄り道することに。

近くの住人しか通らないような田舎道。小山や畑を眺めながらのんびり走っていると左手に急坂が見えてきた。「ちょっとあの坂を登ってみない?」。遊び心が頭を出した。最初に僕が急勾配の坂道を一気に登る。続けてヒロコが登ってくる、坂の上から見ていると「すごい、すごい!」とニコニコしながら登ってくる。あっという間に登って来た。

「この坂を見たとき、えーっ!こんな急坂登れないよ~! って思ったけど、意外とスイスイ登れちゃった。すごいね!」E-Bikeの力に驚いている。その後は扱い方に慣れてきたようで、走り方も落ち着いてきた。


交通量の多い主要道路を離れて静かな田舎道へ
交通量の多い主要道路を離れて静かな田舎道へ

トンネルを越えて坂道を下り、しばらく走ると内浦湾が見えてきた。海風が気持ちいい。そのまま湾に沿って北へ向かうと、漁船が停泊する小さな港が見えてきた。内浦港だ。その一角に宿のスタッフさんがオススメと言っていた「いけすや」を見つけた。

「いけすや」は内浦漁協直営の食堂で、ここのアジフライ定食が一押しだそうだ。ところが、今年は残念ながらコロナウイルスの等の影響を受けて、アジはなく真鯛を中心に提供しているという。

そこで僕は活きジメした活まだいをフライにした「活まだいふらい定食」を、ヒロコは活まだいと活まだい漬けが半々でのった「活きまだい二種丼」を注文した。

テラス席がありそこなら海を眺めながら食事ができる、さらに近くにE-Bikeを置くことができるので外で食べることにする。10~15分ほど待つと料理が運ばれてきた。どちらもおいしそうなのでヒロコと半分にわけて食べる。真鯛は脂がのっていて肉厚、どちらもおいしかったが、僕はフライの方が好みだった。真鯛のフライを食べるのは初体験、それから寒かったことが理由かもしれない。ヒロコも満足そうだ。


E-Bikeを止めて内浦湾を眺めるヒロコ
E-Bikeを止めて内浦湾を眺めるヒロコ

内浦漁協直営の食堂「いけすや」で昼ごはんにする
内浦漁協直営の食堂「いけすや」で昼ごはんにする

走った後は新鮮な海の幸で舌鼓。地元ならではの食を味わった
走った後は新鮮な海の幸で舌鼓。地元ならではの食を味わった

おなかがいっぱいになったところで出発。今度は南へ向かう。車の少ない裏道をウロウロしながら、10分ほど走るとトンネルが現れた。右手に迂回(うかい)をできそうな旧道があったので、トンネルを避けて旧道に入って行く。こちらはローカル道、ほとんど車は通らない。

しばらく行くと左手に登り坂が現れた。この道を登って行ったら、いい景色が見えるかも? そんな予感がした。ヒロコに「こっちの道に行ってみない?」と声をかけてみる。普通の自転車だったら絶対に断られそうな急坂だが、さっきの登り坂の経験があるので「いいよ―。行ってみよう♪」明るい笑顔が返って来る。これぞまさにE-Bikeマジック(笑)

グングン登って行くと坂の上に中学校が建っていた。振り返ると海と富士山が見える。最高の眺めだ。この中学に通っていたら、こんな景色が教室の窓から毎日見れるのか。なんかいいなぁ。どこにでもありそうな住宅地の中学に通っていた僕は、とてもうらやましく思った。

ひと休みすると坂を下って再び海岸線をウロウロと散策。何か特別なことをしなくても、ふたりでペダルをこいでいるだけで楽しい、流れる景色さえ輝いて見える。スマホの時間を見ると、すでに午後3時を回っていた。返却時間は午後4時、あと1時間もない。「そろそろホテルに向かおうか?」「えー、うそ?もうそんな時間?」時が過ぎるのはあっという間だ。


ヒロコが余裕の表情で急坂を登って行く
ヒロコが余裕の表情で急坂を登って行く

海越しに富士山を見るのは初めて!と感激していた
海越しに富士山を見るのは初めて!と感激していた

内浦はアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の舞台になっている
内浦はアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の舞台になっている

3時間も走るとヒロコのE-Bike走行もすっかり板についてきた。帰り道をスイスイ進んで行く。返却するころには「もう少し走りたかった」と呟くほど、かなり気に入ったらしい。最初はどうなるかと思ったが、特性や利点もわかったみたいだし、何より楽しんでくれたことがうれしかった。

コナステイ伊豆長岡へ戻ってE-Bikeを返却。部屋に入るとフカフカのベッドに寝転び、今日の出来事をおしゃべり。夜は温泉につかって疲れを癒やした。実はこの日、僕たちの28回目の結婚記念日。思い出に残る1日となった。


ホテルに到着。宿でE-Bikeがレンタルできるのは便利
ホテルに到着。宿でE-Bikeがレンタルできるのは便利

コナステイ伊豆長岡は室内に自転車を持ち込み可能の部屋もある
コナステイ伊豆長岡は室内に自転車を持ち込み可能の部屋もある

センスあふれるオシャレなホテルなので自転車なしでも楽しめる
センスあふれるオシャレなホテルなので自転車なしでも楽しめる

さまざまなリクエストに親身に対応してくれたコナステイ伊豆長岡のスタッフさんと
さまざまなリクエストに親身に対応してくれたコナステイ伊豆長岡のスタッフさんと