駅に行って特急券を買おうとしたら、指定席がすべて埋まっているという経験って誰でもありますよね。これは自由席しかないのか…。いや、ちょっと待ってください。あきらめるのはまだ早い。指定席を確保する方法は残っています。ちょっとした裏ワザを紹介しましょう。

新幹線の切符売り場には、必ず指定席の状況が表示されています。「○○まで」から「終点まで」と、区分ごとに○×で指定席があるかどうかが一目で分かるようになっています。お客さんにとっては、延々並んだ末に「指定席はありません」と言われてしまうムダな労力を避ける意味でも有益なサービスです。

さて、あなたが東京から広島に行くことになったとします。乗るのは「のぞみ」です。ところが当日駅に行くと広島までの指定席には「×」マークがズラリ。がっかりする瞬間です。

ただ、ここであきらめてはいけません。もう1度画面を見ましょう。東京駅からだと、まずは「名古屋まで」が表示されていると思います。広島まではダメでも名古屋までなら「○」「△」となっていませんか。名古屋も×なら、あきらめて自由席に並ぶしかありませんが、残席少々の△にでもなっていればチャンスです。

これって「名古屋までなら指定席はあるが、そこから先はありません」という意味に思えるかもしれませんが、厳密に言うと、ちょっと違います。「広島まで同じ座席で座ることはできません」ということです。

なんかややこしい話になってきたような気もしますが、少し視点を変えてみましょう。よく新幹線を利用する方はご存じだと思いますが、のぞみの停車駅って、かなりのお客さんが降ります。つまり広島行きののぞみでも、東京~名古屋だけを利用する人が多いということ。だったら名古屋で降りたお客さんの座席が広島まで空いているかもしれません。

では東京駅の窓口で尋ねてみましょう。「車内で移動してもいいので、名古屋から広島までの指定席って空いていませんか?」。

広島までの×は名古屋で下車するお客さんも含めてのものです。名古屋~広島間の空席状況ではありません。しかも東京から名古屋までは1時間40分ほどかかります。東京では発車間際でも名古屋では、まだ時間があるので空席が残っている確率は高くなります。名古屋~新大阪しかないと言われたら、今度は新大阪~広島間を別の座席で、とお願いしてもかまいません。気になる料金ですが、同じ列車ですので何度移動しても広島までひとつの座席に座るのと同じです。新幹線に限りません。同一列車なら在来線特急でも同じです。個人的な経験だと、かなりの確率で座席を確保できますよ。

ただし注意事項が3点あります。まず、この買い方は窓口でしかできないということ。券売機だと、ひとつひとつの区間での特急券を買うことになり、お高くなってしまいます。次に分割された指定券を手にしてホームに行くと自由席が空いているので、移動は面倒だし自由席に座ってしまおう、というのはNGです。指定席の方が料金が高いのに、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、これって1人が2つの座席を占有することになるので規則違反です。

そして最後に東海道新幹線は8~10号車がグリーン車であることをお忘れなく。グリーン車というのはグリーン券を持っている人しか入れない決まりです。移動の際の通路には使えないのが原則ですので、発券してもらう場合は留意してくださいね。【高木茂久】