日刊スポーツ、日刊銀鱗倶楽部主催「月桂冠杯 三重・鳥羽小浜筏チヌ釣りセミナー&大会」が13日、鳥羽の浜辺湾の筏で行われ、54人が参加し、総匹数を競った。カイズ(チヌの幼魚)の数釣りのシーズンが終盤を迎え、場所ムラもあり、3ケタ釣りとはいかなかったが、シラサエビやオキアミを餌にダンゴ釣りや広角釣法をした人が釣果を伸ばし、納竿の午後2時半まで熱戦を繰り広げた。優勝は清原静冶さん(愛知県日進市)で50匹釣り上げた。最長寸を仕留めた人に贈られる「月桂冠賞」は唯一の良型、39センチを手にした中村文比古さん(大阪府枚方市)が獲得。他にもヒラメが全体で12匹も上がり、最長寸の55センチを釣った角田守康さん(愛知県稲沢市)が他魚種賞に選ばれた。

「やりきりました。緊張感を持ちながら楽しむことができた」。デッドヒートの展開を制した清原さんが、最高の笑顔で喜びをかみしめた。上がった浜辺屋の1~3号筏にはトーナメンターが数多く竿を出し、釣り合いの展開となった。

浜辺湾のカイズ釣りは終盤を迎え、群れがうすくなっており、いかに群れを自分のポイントに集め、ヒット率を高められるかで勝敗が分かれた。そんな微妙な状況が、清原さんが得意とするダンゴ釣りにマッチした。シラサエビをしっかりまぜたダンゴを打ち返しながら底から1メートル上でダンゴを割り、刺し餌を落とし込む釣法で匹数を伸ばした。

食いが落ちるとダンゴにアミエビも加え、カイズの活性をキープ。風で筏が動いてポイントがずれれば、5グラムのタングステンシンカーを使った広角釣法で拾い釣りをし、2位の那珂さんに1匹差で逃げ切った。

清原さんは繊細なアタリをとっていくゼロダンゴ釣法が好きで、秋から初冬にかけては2週間に1回のペースで釣行を重ね、カイズの最高匹数は1日230匹を誇る。「今回も、ダンゴ釣りを中心に釣りを組み立てたのが正解でした。ダンゴを別打ちする広角釣法よりも、カイズがしっかり餌を食ってきてあまりヒット率を気にせずに釣ることができました」と振り返る。

優勝インタビューでは「優勝できた喜びに加え、今まで1度も勝ったことがない釣友の角田さん(6位)に勝てたことがすごくうれしい。今夜は副賞のお酒『純米大吟醸・鳳麟』で祝勝会を開いてもらいます」と笑顔で話した。目標は、JFT(全日本釣り技術振興評議会)の「全日本かかりチヌトーナメント」で優勝すること。「これからもダンゴの釣りに磨きをかけ、さらなる高みを目指します。月桂冠杯も連覇を目標にがんばります」と飛躍を誓った。【近江康輔】

◆カイズ チヌ(クロダイ)の幼魚を鳥羽方面ではカイズと呼ぶ。干物が名物になっていて、特にミリン干しが美味だ。地元では、カイズが釣れる時期だけサオをだすという人も多く、お酒のアテや、ご飯のおかずにかかせないという。