フィッシング・コーディネーターで元バスプロの茂手木祥吾氏(48)が4月下旬、赤道直下のインドネシアはコモド島でロウニンアジ(GT=ジャイアント・トレバリー)釣りに挑戦してきた。
国内外のルアーマンのあこがれでもあるGTを狙い、3日半もルアーを投げ続けた。3日目に27キロの大型をヒットさせた。3年連続の挑戦で、このほか10キロのGT、15キロのカスミアジをゲットした。
★ピンクのシンペン
本命GTがドバッ! と豪快に海面を割って、ルアーに食いついた。茂手木氏は必死にやりとりをして、スタッフに取り込んでもらった。釣行3日目、この日は全体に活性は低かった。ほかの4人の釣り人は海面の表層狙い。1人だけピンク色で22センチのシンキングペンシルを選び、海面から30~60センチ下を引いていた。
「自分より上しか見ていない魚。エサとなるイワシのような小魚が漂うように演出しました」。ロッド(サオ)のティップ(穂先)を下げ、手首を返しながらスピニングリールを巻いてルアーを引く。時折巻く手を止めて、見せていたルアーを波間に漂わせる。「捕食の間を与えることで、興味をひかせる作戦が成功しました」と言う。
コモド島の周辺海域は起伏の激しい岩礁帯で、沖磯も点々としている。トカラ列島(鹿児島)に似た地形で、波に浸食された岩肌も目立つ。潮の流れは山口県下関市と福岡県北九州市を結ぶ関門海峡のように急で、川の流れのようにもなる。徳島・鳴門海峡のように、渦潮もできるほどだ。こんな場所にこそ、GTはいる。まして、3~5月は9~12月と並ぶベストシーズン。狙って渡航した。
★ひたすらキャスト
3日半、ルアーをひたすらキャストし続ける。釣りとしては、マグロのキャスティング・ゲームに似ている。高校野球の主戦投手が、今では死語となったダブルヘッダーを3日連続で先発完投するようなもの。それでも獲物を狙って表層を中心に20~50メートルを投げ、攻め続ける。「潮の流れにルアーを突っ込むか、潮止まりのタイミングで大型肉食魚に追われて海面を逃げ回り、小魚がボイルしている場所を狙います」。
初日はピンクで22センチ、100グラムのポッパーにヒットさせた。「釣りをしながら状況を見ていたら、ダツが跳ねた」。その様子を見逃さなかった。2日目も同じパターンで、ピンクのシンキングペンシル22センチで食わせた。「コモドのヒットカラーはオレンジなのですが、全員これを使っていたので、裏をかいて違う色を選びました」。
★きれいな海魅力的
茂手木氏はブラックバスのトーナメントプロとして一線を退いた5年前、GTツアーに行こうとした。ところが、コロナ禍で渡航禁止。2022年夏にインドネシアの入国制限が緩和(アライバルビザ再開、陰性証明不要)され、23年春のツアーで初めて参加した。国内では3年前にトカラ列島でGTを初めて狙っている。「コモド島はジュラシックパークのような環境で、きれいな海も魅力的。こんな場所であこがれの魚が釣れればもっと楽しいです」。こんな釣りも楽しい。
◆コモド島 インドネシア南部、フローレス海に浮かぶ。コモド国立公園の中心であり、1991年に近隣のリンチャ島、パダール島とともに世界自然遺産に登録された。トカゲとして世界最大級で、大きな個体は体長3メートルを超えるとされる絶滅危惧種のコモドオオトカゲ(別名コモドドラゴン)の生息地としても知られている。ダイビングスポットとしても人気。
◆ロウニンアジ&カスミアジ ともにアジ科。熱帯や亜熱帯の南日本やアフリカ東岸、ハワイ、バリ島などの海域で生息する。ロウニンアジは大型肉食魚で、幼魚のころは地方により「メッキ」と呼ばれ、群れで行動するが、成魚になると単独行動する。このため、浪人武士にたとえられて命名されたといわれる。別名「GT(ジャイアント・トレバリー)」。体高が高く、体は灰白色。オスは全身が黒ずんでいる。全長180センチ、体重80キロまで成長する。カスミアジはこれよりやや小ぶりだが、最大で全長1メートル、体重40キロ以上になる。体側は鈍い銀色光沢のある青緑色で、多くの小さな黒点がある。
◆茂手木祥吾(もてぎ・しょうご) 1976年(昭51)5月26日、東京都練馬区生まれ。3歳のころから祖父や父に連れられ、釣りを開始。船、磯、渓流からルアーまですべてをこなす。23歳でバスプロに。12年、国内最高カテゴリーのバストーナメントで福島・桧原湖で優勝。海外遠征では、カナダのスモールマウスバス(ブラックバスは別名「ラージマウスバス」)のトーナメントに参戦経験があるほか、オーストラリアで2回バラマンディに挑戦している。普段はフィッシング・コーディネーターとして、釣りのイベントや企画番組などのインストラクター、カメラマンとしてプロモーション活動の手伝いをしたり、釣りガイドとして活躍中。
【使用タックル】
◆ロッド ダイワ「ソルティガ」7フィートと8フィートの2本
◆スピニングリール ダイワ「ソルティガ」14000番台を2個。道糸としてPE6号、同8号
◆リーダー 120ポンド
◆ザイロン リーダーの先に20センチ。これにスイベルを結ぶ
◆ルアー ペンシルベイト、ポッパー、シンキングペンシルなど。長さ20~35センチ、重さ100~200グラム
【諸注意】
◆熱帯気候 赤道直下で日差しが強いため、日焼け止めはトライアスロン選手やサーファーが使うようなタイプを選ぶ。湿度が高く、汗で落ちやすいため、1日2~3回は塗り直す。現地の釣り船にはソフトドリンクが多数ある。水分はしっかり補給する。
◆必需品 1日に何度もキャストするので、フィッシンググローブは指先まで入るものを。UVカットの長袖、フェースガード、帽子、サングラスは必要。ビーチサンダルでは船の上で滑りやすい。スポーツサンダルか長靴が望ましい。
◆タックル 原則、自分で持参。飛行機への持ち込みは20キロまで。極力コンパクトに。ライフジャケット、獲物がヒットした後にやりとりする際にロッドの柄の部分を円筒形の中に突っ込んで安定させる「ギンバル」は必ず用意。
◆キャッチアンドリリース 船には必ずレンジャー(監視員)が乗る。ロウニンアジは釣ったら放流。
【コモド島GTツアー】
日程や料金などの問い合わせは「FIELD GATE(フィールド・ゲート)」【電話】03・5825・8186。https://www.fieldgate.co.jp/archives/804







