元モデルの歯学博士・照山裕子さんが、口臭が気になる、歯周病が進んできた…歯と口の悩みなど、皆さんの悩みに回答します。

 Q 銀の詰め物、かぶせ物の下が虫歯にならないようにするメンテナンス法はないのですか。

 A ありません。金属は変形し隙間ができます。虫歯にならないようにするのは難しく、保険で作るものは長持ちしないと考えてもらっていいと思います。

 今は「メタルフリー」といって金属を口の中から取りましょうという動きが、世界のトレンドです。金属は変形し、虫歯を誘引すること、女性に特に多いのですが、金属アレルギーを起こす人もいます。ある日突然ぶつぶつができ、血液検査をしたら、金属反応があった。でもアクセサリーはつけていない-大体、口の中の金属が原因です。

 欧米で金属を入れている人はいませんし、韓国の人でも見ません。米国に行くと、「なぜ銀が入っているのか」と言われます。見た目の問題もありますが、性能が悪すぎるのです。

 金属は悪いと分かっていながら、説明しない先生も多いと思います。「『保険にしますか、自費にしますか』としか尋ねられなかった」と患者さんから聞きます。「安い方か高い方か」だったら「安い方で」となります。メリット、デメリットを理解した上で選択するのが患者さんの権利です。将来、虫歯になる、歯を抜くことになってインプラントにしなければならなくなるかもしれない。肉体的にもコスト的にも負担が大きい。だったら保険外でもいいかぶせ物を-という選択があっていいと思います。

 かぶせ物をするとき、大体は神経を取ります。そのとき、かぶせ物を保険適用にすると、神経を取った後に入れる土台も銀の配合率が高い合金になります。銀はさび、腐食します。また、神経を取った歯は根が弱っているため、歯の厚みがないと、歯が割れることがあります。ファイバーコアという、たわむ素材を土台にすれば、歯が割れる危険性を30%に抑えられるのですが、ファイバーコアにしたら、かぶせ物も自費にしなければいけない決まりです。保険制度の問題点の1つです。

 ◆照山裕子(てるやま・ゆうこ) 歯学博士。厚労省歯科医師臨床研修指導医。歯と全身の関わりについて幅広く学んだ経験を基に、機能面だけでなく審美的要素にもこだわった丁寧な治療がモットー。分かりやすい解説でテレビ、ラジオにも多数出演している。学生時代はモデル事務所に所属。近著に「歯科医が考案 毒出しうがい」(アスコム)。