元モデルの歯学博士・照山裕子さんが、口臭が気になる、歯周病が進んできた…歯と口の悩みなど、皆さんの悩みに回答します。

 Q 黒ずんでいる歯があります。どうしたらいいですか。

 A 歯髄(歯の神経)が生きている歯を生活歯、死んでいる歯を失活歯と言います。黒ずみの程度にもよりますが、他の歯と比べて明らかに暗いようであれば失活歯の可能性が高いです。むし歯が進行して歯髄を除去した場合だけでなく、転倒による打撲、野球のボールが当たるなど外から強い衝撃を受けると歯随がダメージを受け、やがて死んでしまうことがあります。以前、ハリセンボンの箕輪はるかさんがネタになさっていたので、「黒い歯=神経が死んでいる」という認識が一般の方にも浸透したように感じます。

失活歯の黒ずみを解消する治療法は大きく分けて2つあります。1つは内部から漂白する方法。インターナルブリーチ(歯の裏に穴をあけ、ホワイトニング剤を入れてレーザーやライトを照射)とウォーキングブリーチ(同様に穴をあけ、漂白効果のある薬剤を混ぜて一定期間蓋をする)があり、現在では前者が主流です。天然の歯をなるべく削らず済むのが最大の利点ですが、完璧に周りの歯となじませるのは困難です。

もう1つは、セラミックを張りつけたり被せたりする方法です。広範囲のむし歯に起因する失活歯は歯質を大きく削っていることが多いため、しっかり補強しないと後に欠けたり割れたりする危険性がありますし、変色が著しい場合もこちらの方法が早いです。天然の歯に近づけるような材質だと保険がきかないのですが、審美性は高いです。

生活歯での変色だと、テトラサイクリン歯があります。歯の形成期(0歳から12歳ごろ)にテトラサイクリン系の抗生物質を服用すると、やがて歯にグレーがかった縞模様が出てくると言われています。色の程度にもよりますが、ホワイトニングできれいに消える人はごく一部なのと、色が後戻りしやすいという特徴があります。テトラサイクリン歯の方にはラミネートベニヤといって薄いセラミックを貼り付けるタイプの治療が人気ですが、咬み合わせによっては割れたり剥がれたりするリスクもあることを知った上で、担当医ときちんと話し合い慎重に選択してください。

 ◆照山裕子(てるやま・ゆうこ) 歯学博士。厚労省歯科医師臨床研修指導医。歯と全身の関わりについて幅広く学んだ経験を基に、機能面だけでなく審美的要素にもこだわった丁寧な治療がモットー。分かりやすい解説でテレビ、ラジオにも多数出演している。学生時代はモデル事務所に所属。近著に「歯科医が考案 毒出しうがい」(アスコム)。