アスリートはメンタルトレーニングとして、アンガーマネジメントを活用しています。プロゴルフではマスターズ2勝のバッバ・ワトソン、11年の全米プロで初出場初優勝したキーガン・ブラッドリーが受講したことを明かしていますし、日本でも片山晋呉と、松山英樹や石川遼と同学年の大堀裕次郎が受講しています。

 片山はやっていないトレーニングがないというぐらい、あらゆるトレーニングを取り入れていて、アンガーマネジメントもその1つとして受講しました。08年に史上7人目の永久シードを獲得し、09年はマスターズで日本人最高となる4位。大きな目標を達成し、その後、勝てない時期が続きました。13年夏にアンガーマネジメントを受けると、アンガーマネジメントによるものだけではないでしょうが、3週後に東海クラシックで08年の三井住友VISA太平洋マスターズ以来、5年ぶりに優勝しました。

 ゴルフはメンタルなスポーツです。4、5時間のプレー時間のうちスイングなど実質的なプレー時間は10~15分といわれます。残る時間の大半は考えている。過去のミス、不安が脳裏をよぎる中、いかに不安をコントロールし、いい状態を再現するかというスポーツです。

 長嶋茂雄さんの「スーッと来た球をガーンと打つ」という打撃論ではありませんが、アスリートは良くも悪くも感覚派です。でも感覚は再現できません。講習では言語化してみようと話します。気持ち、不安、自分が思ういい状態…を言葉にする。言葉にできるものは再現しやすいのです。メンタルを目に見えるように言葉にする。目に見えればコントロールしやすいというのが、アンガーマネジメントの考え方です。