昼夜逆転、生活のリズムは乱れに乱れ、めちゃくちゃになるゲーム依存の中高生たち。「成城墨岡クリニック」の院長で精神科医の墨岡孝院長はこう話す。

 「食事をするのも面倒になる。ずっとゲームをやっているので、家族とのだんらんもなくなってしまう。一緒に食卓を囲むなんてことができなくなるわけです。そして目は疲れる、肩は凝る。自律神経の症状がいろいろ出るばかりか、中枢神経系の神経細胞が異常に興奮し過ぎるといったことが起き、脳にダメージを与えることになります」

 やってはいけないとわかっていてもやめられない。やめろと叱られてもやめられない。やめられないから「依存症」なのだ。

 「ネットに依存した状態は、もしネットが使えなくなると、なんとかしてネットを使おうとする。親が止めても無理。隠れて使って、場合によってはスマホを取り上げられ、大暴れしたり、家庭内暴力に発展することも少なくありません。ネット依存の診断では、こうしたネットの使用を求める行動があるかが一番のポイントです。医学的には“探索行動”といい、これがあるかないかが依存の形成の目安となるのです」

 たとえばアルコールや覚醒剤に置き換えるとわかりやすい。自分が依存している対象がなくなってしまうと、どのような手段を使ってでも手に入れようとする。それが「依存」の本質だと墨岡院長は強調する。

 「依存症の患者さんは、心身を壊してでも酒を飲み続けたり、人生を台無しにしても覚醒剤を使ったりする。家族が止めても激しく抵抗し、やめさせるのは容易なことではありません。ネット依存も同じで、それを取り上げるとパニックになったり、親を刺したりすることもある。ネットの使用をやめさせるためにネットを取り上げることは、実はやってはいけないのです」

 依存症は病気である。治療ができる医師が、徐々にそこから抜け出すことができるよう力を貸すことが大切なのだ。