「成城墨岡クリニック」の場合、ネット依存の大半は中高生の子どもを持つ親がまず相談に訪れる。毎月20人前後の新しい患者がやってくる。精神科医の墨岡孝院長が言う。

 「最初に相談に来るのは、親がほとんど。本人が来ることはまずありません。下は小学校、多くは中学の後半から増えていき、高校生が多いです。傾向は、男子は圧倒的にゲーム依存が多い。戦闘モノばかり。女子では、ラインなどを中心としたコミュニケーションツール(SNS)です」

 中高生では、インスタグラムなどの手軽なアプリが中心。

 「いまはラインよりインスタのほうが人気がある。ツイッターも簡単なので利用者が多いです。女の子の場合は、チャットで一晩中寝ないで起きている。それが原因でケンカや仲間はずれなど、イジメにつながったりと、人間関係の問題が出てくるのです」(墨岡院長)。中には不登校になる子どももいるという。

 先月「ベネッセ教育総合研究所」が発表した調査結果から、乳幼児の約2割がスマホに「ほとんど毎日」接しており、1日あたりの使用時間は約7割が15分未満であることが分かった。また、携帯電話やスマホで「写真を見せる」「母親や子どもが撮った動画を見せる」など子育ての多くの場面でスマホが使用され、親子のコミュニケーション手段として役立っていた一方で、親が手が離せないときに子ども自身にスマホを使わせる割合も、4年前の7・7%から15・2%へと倍増した。

 同じく26日付朝日新聞は米国の南カリフォルニア大の調査で、親が自分よりスマホのほうが大切だと感じている日本の子どもが20%に上ると報じた。記事では子どもだけでなく親のネット依存が強くなっていることや、家庭内でのルールが大切だと伝えている。

 「親の世代もスマホを子育ての道具として使うようになってきて、ネグレクト(心理的虐待)にならないかといった心配もある。大人の側も使い方に注意する必要がある」(墨岡院長)。