<不整脈(1)>

 心臓の拍動に乱れが生じる「不整脈」は、脳梗塞や突然死に結びつく危険なタイプもあるので、適切な対応が健康長寿への道となることを、しっかり頭にインプットしておきましょう。

 健康な人では、心臓はリズミカルに拍動を続け、1日平均10万回拍動し、8トンを超える血液を全身に送り出しています。このリズミカルな拍動は、心臓の右心房の上部にある洞結節から発せられる電気信号によって起きています。安静時には1分間に60~80回前後の信号が発せられ、それが心臓内を伝わり、一定のリズムで拡張、収縮を繰り返すのです。

 この電気の流れに乱れが生じるのが、不整脈。タイプによって大きく「徐脈性不整脈」と「頻脈性不整脈」の2つに分けられます。徐脈性不整脈は洞結節からの電気信号の発生が遅くなったり、途中の回路に問題が生じたりして、うまく信号が伝わらなくなります。それで脈拍がグンと減少し、血流が脳に届かなくなることもあり、死に結びつくこともあります。

 一方、頻脈性不整脈には、「期外収縮」「頻拍」「粗動」「細動」があります。期外収縮は、正常なタイミングよりも早期に生じる電気的な興奮。“脈がとぶ”と表現されます。次の頻拍は頻脈と同じ意味で、脈が1分間に150~250回もある状態。粗動は1分間に250~350回の頻拍がある状態。そして、細動は1分間に350回を超える興奮で、動きは無秩序の状態です。

 その細動の「心房細動」では、心房内がけいれん状態となり、血栓ができ、それが血流で脳にとぶと脳梗塞を引き起こします。「心室細動」では、心臓が停止したのと同じ状態になるので、突然死に結びついてしまいます。(取材・構成=医学ジャーナリスト松井宏夫)