<心臓・血管を若々しく保つコツ(3)>

 健康ことわざは多い。日本では「柿が赤くなれば医者は青くなる」。同じことわざで、ヨーロッパで昔からよく使われているのは、「トマトが赤くなると医者が青くなる」。トマトがいかに昔から身体に良いと知られていたか、ということです。

 トマトには赤色色素の「リコピン」「β-カロテン」の他、「ビタミンC、E」などが豊富に含まれています。注目されているのは抗酸化力で、とりわけ強いのがリコピンです。β-カロテンの2倍、ビタミンEの100倍もあることが分かっています。

 そのトマトパワー効果として、「がん予防」「動脈硬化予防」「老化予防」「血糖値改善」などがあります。この中で、心臓・血管病に関わるのは動脈硬化予防。トマトに多いリコピンは、LDLコレステロールが活性酸素によって酸化LDLコレステロールになるのを抑えます。酸化の元となる活性酸素をリコピンの抗酸化作用で抑えるからです。リコピンで動脈硬化と関係するコレステロールの状態を改善し、血管病を予防することができます。

 そのトマトの気になる食べ方は2通りです。

 (1)完熟トマトを使う。売られているトマトの多くは、青いうちに収穫される追熟トマト。リコピンが多いのは、完熟トマトです。露地物の完熟トマトや、枝に付いたまま真っ赤になったトマトが最高。缶入りトマトジュースや缶詰には完熟トマトが使われているが、塩分が加えられたりするので、その点は注意してほしい。

 (2)オリーブオイルと共に食す。リコピンは、オリーブオイルなど油分を使って料理した方が、身体への吸収がよくなります。「トマトサラダ(オリーブオイルかけ)」「鳥もも肉のトマト煮」「トマトマリネ」など、工夫を加えて楽しみ、しっかり健康に…。(取材・構成=医学ジャーナリスト松井宏夫)