<心臓・血管を若々しく保つコツ(11)>

 連載の70回目では、シイタケを紹介しました。その時は少しふれた程度だった食物繊維に、今回はスポットをあてます。なぜなら食物繊維は、大血管病の「狭心症・心筋梗塞」や「脳卒中」のリスクになる動脈硬化を予防することが分かっているからです。それだけではなく、血糖値、血圧、肥満の改善効果も明らかになっています。

 これだけ健康に寄与してくれることが認められ、食物繊維は、タンパク質、脂肪、糖質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素と並ぶ6番目の栄養素の位置を占めるようになりました。食物に含まれているものの、人間の消化酵素では消化されない成分。かつては人間に必要と考えられていませんでした。それが、食物繊維の働きが分かり、6番目の栄養素といわれるようになったのです。

 「2015年の日本人の食事摂取基準」では、年齢で多少異なるものの、男性は1日20グラム以上、女性は18グラム以上が、食物繊維摂取の目標量となっています。ところが15年の調査では、30~39歳の食物繊維摂取量は、男性13・3グラム、女性は12・5グラムと極めて少ない。これは他の年代でも大きな違いはありません。60代以上の男女で16~17グラムと多少アップするものの、目標量には届きません。

 食物繊維が多い食材は野菜、果物、豆類、海藻、きのこ類など。とりわけ多いのは、コンニャク、干しシイタケ、干し柿、ひじき、枝豆、切り干し大根、ソバ、ライ麦パン、納豆、ゴボウなど。食物繊維が多い食材をインプットしておき、食事に取り入れると効率良く摂取でき、自然と心臓・血管病を予防できます。(取材・構成=医学ジャーナリスト松井宏夫)