<心臓・血管を若々しく保つコツ(13)>

 日本動脈硬化学会が推奨しているウオーキングの運動量は「1日30分以上、週180分以上」。海外でも同じ程度の推奨になっています。これを習慣にするのは、決して難しいことではありません。ウオーキングのためにわざわざ時間をつくろうとするから、ウオーキングの30分がつらく思えてしまうのです。

 通勤時の自宅から駅までの往復、駅から会社までの往復、ここをしっかりウオーキングに生かす。20分の往復が2回あるとしたら、もうそれだけで1日40分のウオーキングを行っているのです。

 ただ、健康面で本当にクリアしているかとなると、疑問は残ります。それはウオーキングの速度です。どんどん人に追い越されるような速度では、健康のためのウオーキングとはいえません。ベストは時速6キロといわれていますが、5~6キロで問題ありません。1キロを10~12分で歩く速度。これだと、通勤時に追い越されることはありません。

 「より健康に」と考えるのであれば、このウオーキングを、60分程度まで増やしても良いでしょう。10分の往復が2回ではなく、3回になります。3回目は昼食時の往復に。食事をした後に10分歩くことになり、糖尿病の人にも効果があるのでお勧めです。

 これで60分が、効果的にウオーキングに生かされています。ただ、3回目の往復は社内食堂で、という人の場合は、階段を積極的に利用しましょう。香港の長寿世界1位の理由として、「坂道が多いから」とも指摘されています。階段を利用することで、香港流の健康メリットが生まれるのです。(取材・構成=医学ジャーナリスト松井宏夫)