1997年、イギリスで45歳から59歳までの918人の男性を10年間調べ続けた結果、「エッチなことを考えている男性ほど死亡率が低い」ことがわかりました。

 調査では、男性の「性的興奮の頻度」を3段階に分けました。1カ月に1度も性的興奮のないグループ、1週間に2度以上のグループ、そしてその間のグループです。

 すると、性的興奮がほとんどないグループの10年後の死亡率は、性的興奮が多いグループの約2倍ということがわかりました。週に2回はエッチな想像をする人のほうが長生きするということが、疫学的に証明されたわけです。つまり、適度な「下心」は体にいい影響を及ぼすのです。

 「性の健康」を専門に研究しているイギリスのゴーシュ教授は、日常的にセックスをしている高齢者は認知症になりにくい、という研究結果を発表しています。セックスによって脳への血流が増えるため、脳が活性化するというのがその理由で、そういう“枯れない”高齢者は認知症にもなりにくいとのこと。

 セックスは、有酸素運動をしながら、高次の脳を使い「相手を喜ばせたり、次に何をしてあげようか」ということを同時に行っています。これは、「デュアルタスク」(2つの仕事)といって、認知症予防にはとても効果があると考えられます。

 片や、女性が人生のうちで性的にもっとも感じる年齢は「34歳」だという報告があります。確かに壇蜜さんだって、30歳を超えているからこそのエロスがあるのでしょう。これは、女性の中の男性ホルモン量に関係があります。女性ホルモンが多ければ性欲は抑えられ、男性ホルモンが多ければ性欲は高まる。女性の場合、30歳を超えると女性ホルモンが若干減少、男性ホルモンは増加するので、20代より性欲が高まるのだとか。エッチの回数は減っても、行為への探究心と感度は増すそうです。男性の男性ホルモンのピークは15~25歳だといいますから、女性がエロスに目覚めた頃、男性は少々減退気味!?

 ◆森田豊(もりた・ゆたか)1963年(昭38)6月18日、東京都生まれ。秋田大医学部、東大大学院医学系研究科修了。米ハーバード大専任講師を歴任。現役医師として活躍すると同時に、テレビではコメンテーターのほか、「ドクターX~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)など人気番組の医療監修も数多く務める。著書は「今すぐ『それ』をやめなさい!」(すばる舎)「ダイエットはオーダーメイドしなさい!」(幻冬舎)「ねぎを首に巻くと風邪が治るか?」(角川SSC新書)など。気分転換は週2回のヨガ。